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英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜(閃U篇)
第92話
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離れていてください。」

そしてエマは魔導杖を取りだして天へと掲げるとエマの足元に魔法陣が現れた。

「霊脈よ、我が霊力の導きによって彼の地の乱れを鎮めよ―――――」

少しの間集中していたエマだったが効果は無い事を悟り、術を中断した。



「……どうだ?」

「……駄目、みたいですね。やはり、今の私の力ではこの範囲の乱れは鎮められないみたいで。多分、セリーヌのサポートがあっても……」

「そうか……まあ、仕方ないさ。」

「…………」

深刻な様子で黙り込んだエマが気になったリィンは声をかけた。



「大丈夫か……?」

「きっと……ヴィータ姉さんならなんとかできたと思います。彼女の”深淵の魔女”の力があれば……それにひょっとしたらゲルドさんでも…………」

「あ……」

「……思えば、私はいつだって姉さんの後ろについてばかりでした。魔女としての途轍もない才能にただ憧れるばかりで……いえ、劣等感すら感じていたと思います。優秀な姉さんの傍にいれば、いやでも自分の未熟さを思い知らされるから……最近ゲルドさんを見ているとまるで姉さんを見ている気分に陥る事もあるんです……彼女は私や姉さんとは異なる”魔女”ですが、彼女の使う”魔法”……そして”予知能力”はあの姉さんをと同じかそれをも超える程凄まじいとしか言いようがありませんから……」

「委員長……」

「ごめんなさい、リィンさん。こんな未熟者がついてしまって。私にもっと力があれば……こんなことじゃ、姉さんの場所に辿り着く事なんて……」

肩を落としている様子のエマをじっと見つめていたリィンはやがて口を開いた。



「誰だって、最初から何でもできるわけじゃないさ。剣だって同じ……誰かと比べても仕方ない。あくまでも自分のペースで頑張るしかないんじゃないかな?」

「自分のペースで……」

「ああ、そしてZ組のペースでだ。俺達と一緒に進む中で、委員長も少しずつ成長したらいい。そうしたら、きっといつかクロチルダさんに届くはずだ。」

「……そうですね。とにかく今は一つずつ……やれることを片付けていかないと。すみません、ちょっと焦っていたのかもしれません。

「はは、いいさ。それにせっかく”公園”まで来たんだ。あたりでゆっくり日向ぼっこでもして、気分転換していかないか?」

「ふふ、そうしましょうか。」

その後、しばらく公園の周辺でゆっくり休んでからケルディックに戻ったリィンはエマと別れた後街の徘徊に戻り、元締めの家で元締めと会話をしているアルフィン皇女とその隣にいるエリスが気になり、二人に近づいた。
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