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ソードアート・オンライン―【黒き剣士と暗銀の魔刃】
鉄色の刃と紅色の狂喜
零節:【魔刃】
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ったな……あぁ……」
此処で改めて思い出す。
この奇々怪々な建物はただ座り呼吸しているだけで、五感へ珍妙な事ばかり押しつけて来るのだった―――と。
何故に草木や色鮮やかな花々、宙を舞う虫達まで異様に
作
(
・
)
り
(
・
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物
(
・
)
めいていて、整合性など知った事かとばかりに不自然なのか。
眼を閉じて《遺跡》の詳細を思い出して尚、此処に広がる光景は酷く歪で不愉快な物ばかりだった。
「……アレだ……情報収集する、しかねえのか……」
明らかに不自然な場所で、その都度切って話しながら、碧い悪魔“だった者”は緩慢に立ち上がる。
腰に手をやり、己の“得物”が存在している事に安堵すると……胸に付いたペンダントを強く握りしめた。
「……イーシャ……」
手を放した『男』はそう呟くと、未だに滾々と湧き出ていた怒りを鎮め―――獲物を抜き放ち後ろを睨みつけた。
「『グルルルルゥゥ……!!』」
其処いたのはあろう事か、体高ニmはありそうな犬……否、狗の化物だった。
が―――またしても此処で違和感が生じる。
(何だアレ、は……?)
通常何もない筈の頭上に、何故か“赤い菱形”に似た立方体が浮かんでいる上、顔の横には多少長い“アルファベット”と枠で囲われた“青色のバー”が浮かんでいる。
だがそれら奇妙な要素に反し……放たれる迫力自体は、幾つかのいびつさを入れても尚“本物”。
涎を垂らし唸る声へ肝を強制的に冷却させられ、獰猛な光を宿す相貌に脚が竦んでも可笑しくない筈なのに、男は真っ直ぐに目線を向けたまま外そうとしない。
互いに視線で相手を捉えて離さない。
そんな沈黙の時が数秒間流れ……
「『ガアアアァァァッ!!』」
動いたのは、化物狗の方だった。
突撃の勢いは殺さず右爪を振りかざし、目の前の男を八つ裂きにせんと叩きつける。
対する男は……睨みつけたまま動こうとしない。
残り数十pもない距離まで近付いて、彼のその身を太い爪が切り裂く―――
「……遅ぇ……」
―――直前に左腕が付きだされ、ものの見事に軌道を変えられ外される。
されど、数センチ近くを凶器が通り過ぎたのも事実。
事実……の筈なのだが、動揺はかけらも見られない。
それどころか男は反撃に転じた。
狗の爪が地面へ落下するかしないかの間に、アッパーの動作で下顎を斬り上げる。
続く肘鉄で鼻っ柱を打ちすえ、吠えながら顔を上げた瞬間体重を乗せて斬り降ろす。
「……シッ!」
最後に左ストレートを決めて、サマーソルトキックを放ちながら距離を取った。
化物狗は大きなダ
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