異能2 夢と現実
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ゃんとすれば、すっごく、もっと、かっこいいんだよ」
まるで静刃のそういったところを見たことがあるような口調で祈は嬉しそうに話しはじめた。
「はあ……?」
「祈、知ってるよ。お兄ちゃんは本当は、何でも優秀な人なんだよ」
かなり静刃を尊敬(美化)してるな。
「___祈。俺は優等生のお前と違って、何の能もない人間なんだ。俺が優秀じゃないってことは学校の成績が教えてくれてる」
「___違うもん。本気をだせば、お兄ちゃんや弾輝さんは、すごいことができる人なんだもん」
「本気なんて___出さないし、出したくない」
「右に同じ。
そもそも俺の本気なんてたかがしれてるし」
俺は、あらゆる物事において、必要最低限のこと以上は何もしないのが、一番賢いと思ってる。
凡人が本気を出して頑張っても、大した見返りはない。それが今の日本だ。
だから、自制しないといけない。
それがとっさのことでも、とっさの判断でも、ちょっとのことでも、衝動的に本気で動いたら損するんだ。
そう。昨夜の夢で、俺達が巻き添えを食って死んだようにな。
夢、夢の、あの子……。
夢の中で、なぜか、本気で走ってしまったあの瞬間。
それを思い出した瞬間俺は、あの少女の事を思い浮かべてしまった。
____マリナーゼ。
夢に登場した美少女のことを。
「___『魔剱』、『魔弾』___?」
その時。
不意に祈が、おっとり顏を真面目にして、シリアスな声を出した。
「あっ」
俺や静刃と目が会うとすぐ、いつもの表情に戻した。
なんなんだ、いったい。
その後は、いつもの状態(?)に戻った祈が静刃の入学式に出たいと言って駄々を捏ね、静刃はそれを突き放して俺達は家を出た。
「入学式、か……」
私立・居鳳高。
地方都市横須賀・居鳳町のさらに外れにある私立学園。
初等部から高等部まであり、今まで女子校だったのを今年から共学化した。
周りは女子、女子、女子のオンパレード。
男子は俺や静刃を入れてあと2人しかいない。
で、その入学式に臨んだんだが。
どうやら俺はとんでもない過ちを犯していたらしい。
なぜなら。
俺の隣には……。
夢の中で出てきた、とんでもなく可愛い。
黒髪ツインテールの。
美少女。
_____『マリナーゼ』さんが座っているからだ。
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