異能2 夢と現実
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―キレイだ。
こんな状況なのに、そんなことを思ってしまう。
月光が、気品のある顔を白百合のように浮かび上がらせる。
少女の瞳は淡い薄紫色をしている。
その瞳は意思の強さと知的さを感じさせる。
背は高めで身長170cmはありそうだ。
だがその胸元は平らだ。
顔つきは少し丸みを帯びていて、全体的には幼く可憐だ。
(変だ……俺は、この子を知っている。)
一瞬よぎったそんな思いも、俺は中断せざる得ない。
空中で取っ組み合いになった魔法少女とメカ少女が、俺達の方に墜落してきたからだ。
「あら、アリスベル、それとマリーも来てたのね!クーデレー獏やヒッキー淫夢と一緒じゃないのー!?」
魔法少女が黒髪ツインテ少女二人に叫ぶ。
その隙にメカ少女が水着の股間を丸見せするような側転を空中で切った。
そひて、その隙を逃さず機械の腕で魔法少女の足を掴んだ。
スカートの中身がひっくり返るくらい大きく振り回した。
魔法少女は自分を捕らえた機械の腕をもぎ取って放り投げた。
「ほら、あんたたちにも、お裾分けッ!お礼は欠片でいいわよ!」
その巨大な腕が落ちてくる―――少女達へ向かって!
(まずい、ぶつかるぞ!あのままだと……)
とっさに俺は駆け出した。
静刃もほぼ同時に動いていた。
静刃はアリスベル、俺はマリー、そう呼ばれた少女めがけて。
走れ、走れ!
本気で走れば、間に合う。
「「危ないだろ!」」
俺達は彼女達に飛びかかるようにして、突き飛ばした。
ふわっ、と―――マリーと呼ばれていた彼女から、シャンプーの香りが漂い。
こっちを見たその目が大きく見開かれ。
そして。
俺の背に。
「――――――!」
機械の腕が激突した。
最悪なことにギザギザの刃物が飛び出た金属片から枯葉の束を踏み折った音が俺の体内から聞こえる。
何本の骨が折られ、あるいは切断された音だ。
痛みは無い。
何も感じない。
……ああ、死ぬのか。
何か生暖かい液体の上に転がって、仰向けに倒れている。
この流れている液体。
この色。
この匂い。
これは―――?
血だ。
俺は俺の血黙りに倒れているんだ。
足音が聞こえてきた。
誰かが近寄ってきた。
誰だ?
もう、うっすらとしか、見えない。
ああ、これはあの4人のうち……マリー……か?
―――が話してる、彼女と。
何を話してるんだろう?
それすらもう、わからない。
唐突な、ものだな。
死ぬって、ことは。
死ぬ前……には……もっ……と……じ……間……が……。
……
…
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