であい
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い。来る気配もない。薄暗い細い路地裏の、塀の上なんて、誰も来るわけもないし、誰も通らない。君はそんなことも分からず、ひたすらに辺りを見渡し続けるものの、少し経つと疲れたのか塀の上でしがみついた状態でうとうとし始めた。
「おやおや……こんな薄暗い路地裏の、しかも塀の上に子供とは珍しいですね……」
路地裏に優しそうな男性の声が落ちる。君はうとうとしながら必死に身体を起こして辺りを見渡そうとしたが、眠いのかうまく動かせていない。
「全く。この子の親はどうして目を離したりしたんですかねぇ」
君の体が宙へと浮かぶ。君の目の前には優しそうに微笑んだ青年の神父さんがいた。
「始めまして。恵まれし者。私はルージュ。君の名前を教えてもらえますか?」
神父さんは優しく君の身体を包み込むようにしてお姫様抱っこをすると、そういった。君はうとうとしながらはーちゃんは、はーのって言うの、と小さな声で呟いた。神父さんはそうですか、と優しい笑顔で言った後、ゆっくりお休みなさい、と言って君の目を閉じさせる。君はんん、と一瞬駄々をこねようとしたけど、睡魔には勝てなかったのか、すやすやと寝息を立て始めた。
「ここまで似ている子供も珍しい……」
神父さん――ルージュ――は君を優しそうに、懐かしそうに見つめながら大通りへと出るように路地裏を進んでいった。
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2024 肥前のポチ