46.黒竜討伐戦隊
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らいだ。といっても、彼は冒険者登録をしていないので完全にアンダーグラウンドの世界でだけ名が知られる男なのだが。
ただ、身長2,2Mの筋骨隆々な超巨体と、瞳を覆い隠す灰色の前髪という姿は、例え冒険者であっても怯む迫力だろう。実力に関しては――「4年前に『本気』のオーネストと殴り合いをして尚生きている」と言えばその異常な実力を計り知れるだろう。『恩恵』に関しては、オーネスト曰く「アズと同じ」らしい。
「お前も物好キな女だ……わざわざ札付キの人間を雇ってまで、その大穴とやらが気ニカカルのか?穴ガ開イタから何だ。放っておけば塞がるだけだ。誰がどのようにそれを行っていた所で、俺にもオーネストにも関係ナイ話だろう」
「あるかどうかは確かめないと判別がつかないでしょ?最近は『闇派閥』も動いてるし、この前の鎧事件も分からない部分が多いし……最近は通り魔も出てるって言うじゃない」
「その話は知っている………冒険者バカリ、確認されているだけで8人。行方不明者はソノ3倍以上。確カニ、波立ッテはいる……」
ユグーも思う所はあるのか、俯いて肩を震わせている。
ただし、俯いた理由は決して悲しみや警戒などといったありふれた感情ではない。
「………ッ、………ククッ!……どんな通リ魔なのだろうなぁ………冒険者ヲ狙ウという話だが、それでは俺ハ狙ッテくれんのかぁ……?俺を殺しに来ないなんて、寂しいじゃないか。キャロラインを狙ってくれれば、雇ワレノ俺にも至高ノ殺意と刃を向けてくれるのカぁ………?」
「また始まったよコイツ……マゾヒストもここに極まれりよねー」
ユグーが好きなもの。それは騒乱と悲鳴。
ユグーが好きなもの。それは裂傷と鮮血。
ユグーが好きなもの。それは敵意と殺意。
ユグーが好きなもの。それは、『自分自身へと押し寄せる』暴力と死、そして痛み。
命を賭けなければ生きる実感を得る事の出来ない、どこまでもイカレた戦闘狂――それがこの男だ。
「なんやかんや文句言いつつ、思いっきり厄介事を期待してんでしょアンタ。『痛みが生きる実感』だか何だか知らないけど、そんなに戦いたいならそれこそ冒険者にでもなればいいじゃない」
「駄目だな……冒険者は人間ヲ殺スのも人間ニ殺サレルのも理由が必要だ。もっと惨めで賤しい、命が枯草のように吹き飛ブ戦いがいい。オーネストとの戦いが、俺の理想とする至高ノ戦イに最も近かった………世界を圧シ潰ス、心地好キ殺意が欲しいのだ………!!」
にちり、と禍々しく恍惚の笑み浮かべるユグーの口元からは、唾液が垂れている。
『こんな』男だからこそ、戦いからは絶対に逃げないし、半端は決して許さない。何故なら彼にとっては殺し合いこそがどんな美酒にも代えがたい財なのだから。それを見越したうえで、キャロライ
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