46.黒竜討伐戦隊
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りは別の問題として。
とにかく、『契約冒険者』という特殊な立場を利用して主神と対等に近い立場にいる彼女は、活動の合間を見て独自に街の不審者や侵入者について調査を開始した。
その結果、浮かび上がったのがつい最近噂になっている『ダンジョン内に空いた大穴』の話だ。
最初にその話を聞いた時、彼女は「それってアズが鎖で無理矢理削岩した穴じゃない?」と予想したのだが、調べてみるとその穴とやらはアズがダンジョンに入っていない日にもぽっかり穴を空けているのが確認されているという。
そして、その穴はそれなりに深い層まで穿ち、数時間で塞がる。これはダンジョンの自己保存機能が故だろう。ダンジョンに人工的に空けた床・天井・壁は時間が経つと修復されるのだ。問題は「ダンジョンに穴をあけて進む」というアズ以外がやらないような出鱈目な方法を誰が取っているのかという事だ。
まず間違いなく、その穴は人工的に開けられた穴だ。魔物はダンジョンそのものを破壊する行為はしないし、落とし穴にしては派手で目立ちすぎる。となると、こんなことをするのは人間だけだろう。では一体どんな人間がこんな真似をするのか?
ダンジョンの地盤は相当に固く、そして厚い。例えレベル7の『猛者』でも、地盤をぶち抜いて下の階層に行くには相当な時間が必要だろう。作業中に寄ってくる魔物の問題もあるし、この街でそれを実戦出来そうなのはアズ以外に思いつかない。そして実際にアズではなかったということは――。
「結論、街の外か、あるいはアングラで息をひそめている上級不審者!と言う訳でとっ捕まえるの手伝いなさいよユグー!」
「身モ蓋モない結論……オ前、知能ガ低イのか?」
「だまらっしゃい、私はクライアントよ。お金が続く限り貴方は私のしもべなんだから、そこんトコ忘れないでよね」
現在条件付きレベル3相当のステイタスで槍の達人でもあるキャロラインだが、流石に3止まりで得体の知れない連中に挑むのは愚策だ。その為、彼女はその正体を確かめる意味も込めて一人の助っ人を雇った。それがユグー・ルゥナという男である。
『契約冒険者』は金で動くため、借金があったり家族に仕送りでもしてない限り結構な金を持っている。裏での有名人で実力も立つユグーを雇うくらい、キャロラインの『お小遣い』なら訳ない。最も彼はキャロラインの好みではない。ユグーもキャロラインのような女性――というかそもそも他人に興味がないので関係は見ての通りいいとはいえず、さりとて悪いともいえない。
ユグーの詳しい来歴は彼自身もよく知らない。ただ、物心がついた頃には『闇派閥』の刺客であり、一時期は「最悪の背信者」として手配書にも乗っていた。それ以上彼女が知っている事と言えば、4年前にオーネストに完全敗北を喫して以来ずっと雇われ兵をしていることぐ
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