46.黒竜討伐戦隊
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のだ。
だが、逆を言えばこの化物は人間との激戦で蓄えた『経験値』をそのまま引き継いでいる。能力がダウンした分だけクレバーになったとも言えるだろう。ダンジョンと言う閉鎖的な空間も考えると、これはこの上なく厄介な話だ。事実、十数年前に二つの超大型ファミリアがこの黒竜を倒そうと挑み、あっさり壊滅した。
それ以来、黒竜はこのダンジョンで発見された中で『最強』の地位にずっと居座っている。
この『黒竜』を倒せなければ、ダンジョンは攻略できないだろう。
ただ、黒竜はどんな手を使っているのか50層付近の特定のエリアを現れたり消えたりを繰り返している。その周期は一定の為、冒険者たちは黒竜と確実に遭遇しないタイミングを選んで冒険し、現在は58層までが攻略終了している。問題は59層――黒竜との遭遇率が最高に高い殺戮地帯だ。
ここでオーネストは3度も黒竜と相対し、敗北した。
超大型ファミリア二つを壊滅させたオバケ怪獣相手にどうして3度とも生存できたのかが不思議なほどのダメージだったが、彼はそれを生き延びた。「二度ある事は三度ある」という訳だ。
そしてこれからは多分、「仏の顔も三度まで」……。
「いや、オーネストが仏ってのはウルトラスーパー無理あるか。むしろ修羅道を極めたような奴だし」
宿で朝食をとった後の軽い休憩時間中、俺はそんなことを考えていた。剣の手入れを済ませて瞑目していたオーネストが顔をあげる。
「修羅道は六道が一つ。そして六道とは迷える者の廻る世界だ。お前、そんなに俺が迷っているように見えるか?」
「見た目にはそうは見えないなー。俺の勝手な推測では、中身はそうでもないと思うけど」
「なら勝手に推測してろ」
冷たく突き放すオーネストのつっけんどんな態度もいつものことなので、言われたとおりに勝手に推測する。
そもそも、迷いのない人間というのは自分で思考していない人間だ。思考が凝り固まりすぎて人格とイデオロギーがすり替わった奴とか、洗脳・陶酔状態にある人間がそれに当たる。で、オーネストと言う男は自分で考えない類の人間が死ぬほど嫌いである。
逆説的に、オーネストは人は迷うべきだという考えを持っている。普段は即決即断に見えるが、実際には意外なほどに思慮深い彼の性格からそれは予測可能だ。彼は内心ではいつも悩みながら取捨選択し、しかし選んだ自分の答えに絶対に後悔しないと覚悟を決めている。だから迷いがないように見えるのだ。
つまり、オーネストは迷いや悩みに苛まれる中でも思う方向へ決断の斧を振り下ろす力が異常なまでに強い男ということになる。オーネストに斧………やっべー絶対に剣より強い。『超若本斧』など持たせようものなら『俺に殺されるために立ち上がって来たか
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