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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
語り言
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らかもしれんが」

混乱を隠れ蓑に好き放題し、目的を達成したらさっさと撤退。いかにも兄がやりそうな行動に蓮は思わずため息をつく。

「まぁでも、ここまで引っ掻きまわしてる兄ちゃんが、普通のモノ作るワケないよね」

「そりゃあそうじゃな。しかも、ただでさえ規格外な代物の《ダミー・レコード》をして、ただの鍵と言わしめるモノじゃ。並大抵の代物ではあるまいて」

「う〜ん、演算装置って言葉を真正面から信じれば、ものっすごく計算できる機械……みたいな?」

ぼやっとしたにも程がある少年の推理に、老人は軽く吹きだした。

むくれる蓮に謝りながら、重國はふむ、と話に乗る。

「あくまで印象の話じゃが、それだけでは何か弱い気がするのぅ」

あの怪物が秘匿するモノ。

それがただ世界最高クラスのスパコンとかだったらどんなにいいだろう。

最高のその先。

究極の奥底。

いつだってそこを見据え、そこと向き合うあの男を掴むには、自身も同じ場所に立つしかないのだろうか。

う〜ん、と頭を抱える少年を眺めながら、老人はふっと吐息を吐いた。

「……まぁ、儂から話せるのはこれくらいで打ち止めかの」

「まだ隠してるとかはナシだよ」

「かはは、君に話したこの情報だけで何人死体が出るか分からんくらいじゃぞ?」

割と冗談抜きなのだが、蓮はそれでもまだ引っかかっているように眉を寄せていたが、やがて諦めたのか小さくため息をつく。

「……ま、シゲさん相手に腹芸なんてできないしね。今日のトコは帰るよ」

「送らせよう」

ありがと、という言葉を聞きながら、重國は木瀬を呼ぼうとした口をふと少年に向ける。

「そういえば蓮君。今日は木綿季ちゃんはどうしたんじゃ?」

車椅子で繰り出そうとしていた少年は、寸前で立ち止まり、しかし振り向きはせずに言葉を紡いだ。

「今日は……外せない用事があるってさ」

「……そう、か」

少年の声のトーンに何か引っかかりを覚えたが、老人はあえて何も聞かなかった。

「ではまたのぅ、蓮君。今度は依頼など抜きで会いたいものじゃ」

「はは、まったくだね」

ひらひらと手を振って、蓮はゆっくりと退出していった。

重國はその車椅子の背を、消えてもなおいつまでも見送っていた。










高級車でも、乗るのが六度目となれば目新しさも減るというものだ。

仄暗く染まった車窓の景色をぼーっと眺めながら、小日向蓮はそう思った。白と黒に分かたれた世界の中で、景色だけが後ろへとスッ飛んでいく。

それらの動きを何となく追っていた少年は、無論何も考えていないという訳ではない。

ひりつくような感覚を味わいながら、今しがた黒峰重國
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