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八神家の養父切嗣
四十八話:かつての英雄
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んなことがあっても決して見捨てないと誓った。救うことを諦めないと、自分のせいで死なせてしまった人々に約束した。どんなに愚かであっても夢を追い続けなければならない。それ故に彼の望むやり方は賛同できない。それは彼の為でもある。

「それを言うのなら今の世界こそが間違っているのではないかね? 他者を食らうことでしか生きていけない、自分を犠牲にしなければ何も救えない悲しい世界だ。我々は最小の犠牲でそれを終わらせようとしているのだよ」
「何にも変わってないよ! 数が少ないか多いかでしかない。そんなやり方じゃまた同じことを繰り返すに決まってる!!」

 人は愚かだ。誰かに与えられた幸せではすぐにありがたみを忘れ暴走する。誰かを犠牲にするやり方で平和な世界を手に入れても繰り返す。それ以外の方法を知らないのだから間違った選択をし続けるのは間違いない。今も人を殺し続ける愚かな道化のように。

「だからこそ、君達に正しい世界を導いて欲しいのだ」
「最初から自分も他人も救うことを諦めているような世界なんて私は―――いらないッ!!」

 男の考えを真正面から否定する。正義の為に切り捨てられる人々などいてはならない。苦しんで泣いている小さな少女が当たり前だなど認めない。例え永劫の苦しみを与えられるのだとしても、自らの力で全ての人が救われる世界を求める。それが自分の生きているうちに成し遂げられないのだとしても絶対に希望を捨てない。

「……それが君の答えか、残念だよ。我々と望むものは同じだと思っていたのだがね」
「いいえ、同じです。でも、やり方が間違っているんです。今からでも遅くありません、考え直してください。管理局は理解ある対応をします」
「随分と大きく出たものだ。未だに我々がいなければ一人で飛ぶことも出来ぬ雛鳥だというのに」

 男の纏う空気が変貌する。今まで感じたこともないような重々しい威圧感と冷たさ。自然と額から冷たい汗が流れ落ちる。男はいったい何者なのか。そもそも彼は管理局という言葉に対して敵意が欠片もない。寧ろ一種の親しみすら感じさせる。まるで自分達は身内だとでも言うように。

【はーい、良い啖呵でしたねー。流石はエースオブエースと言ったところですかー?】
「新手…!」
【心配しなくても大丈夫ですよー。私は補助しかしませんしー。それにこれも幻影ですし】

 張り詰めた空気をあざ笑うように現れたのはクアットロの幻影。聞いているだけで不思議と心が苛立つ独特の話声になのはも例に漏れず眉を顰める。しかし、そんなことなど知ったことではないとばかりにクアットロは嬉々として話を続ける。

【でもー、その人には絶対に勝てないと思いますよー。そもそも、管理局が命令できるような人じゃありませんし】
「……どういうこと?」
【あらら、意外とおバ
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