暁 〜小説投稿サイト〜
剣士さんとドラクエ[
94話 異変2
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

 邪魔になったけど、あの頃は……内心、父上も髪の毛の長さが羨ましかったから、伸ばせる今は幸せだったんだな……。これからはちゃんと伸ばさないとね。

 無言になったククールがばさっとマントを、剥き出しの足にかけてくれた。おお……これが本物の紳士ってやつだ。そのマントも当然、激しい戦闘でボロボロになってしまっていたけど、その気持ちはとても嬉しかった。ありがとうと振り向いて言えば、気にするなと目を逸らされる。あ、お目汚し失礼。え、違う?

『兄さん、何故……人間なんかと』
「ん?ゼシカ?どうしたの?」

 ドルマゲスがいたところからあの、トロデーンの国宝の杖を拾ってくれたゼシカは、私の方を見ながら何か言った。低く言ってたから、「兄さん」しか聞こえなかった。ゼシカの兄さん?サーベルトさんだよね。

「……なんでもないわ。復讐しても兄さんが帰ってこないんだって、実感してただけなの」
「そうだね……」
「ええ。でも……これで兄さんも心配しなくていいわね。それには意義があったかもしれないわ」
「そう思えるならゼシカは大丈夫だよ。今までありがとう。君の強力な魔法があったから成し遂げられた」
「別れみたいなこと言わないでちょうだい。まだしばらくは一緒でしょ?」
「勿論!」

 少なくとも、トロデーンに戻ってトロデーン城がどうなったかは確かめるし、ゼシカはリーザス村に責任をもって送り届けるし、まぁ少しは一緒だね。ルーラするのはエルトかククールだけど、付いていくつもり。それぐらいのわがままは無理でも通すよ。かけがえのない仲間なんだから。

 手袋から予備のブーツと適当な着替えを引っ張り出す。普通のズボンと普通の上着。今着てるみたいに腕からナイフがぼろぼろ落ちてくる仕掛けはないよ。せいぜいボタンに仕込みナイフがあるぐらいさ。

 それをさっさと着て、ゼシカに出した方の綺麗な上着を貸して、ククールにマントを返す。そのククールにも本当は何か貸してあげたいけど……サイズが合わない。足も腕も長くて、背も高いククールに私のサイズの服を貸したってつんつるてんか、酷かったら着れないだろう。ていうかそれでも貸そうとしたらやんわり断られたし。

 ゼシカが「逆彼シャツは頂けないわね」ってなんのこと?彼シャツってなに?知らなくていい?そうなの?ククールのそんなに焦った顔、あんまり見ないね。

 そんな風に魔物の気配がなくて、やっと落ち着けたからかしばらく駄弁っていたら、陛下が来られた。……何故か姿は戻られていない。時間差で戻るのかな?それとも泉の水を飲めば完全に解除って感じなのかな?

 陛下に討伐の旨を伝え、私たちはとりあえずサザンビークに戻ることにした。

 あ、そういえば、戻ったら姫とあの馬鹿王子の結婚の話が進んじゃうよね。事故と見せかけ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ