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第一章
BRAVE LOVE
聞こえた。確かに。
僕には聞こえた。彼女のその声が。
聞けばいてもたってもいられなかった。大学の講義からいきなり席を立った。
その僕に教授が。驚いて声をかけた。
「何処に行くんだい?」
「彼女のところに」
「彼女のところ?」
「はい、彼女のところに行って来ます」
こう教授に言って。そのまま講堂どころか大学も出て。
その足で港に向かった。それから船を探した。
正直そこに行く船があるかどうかなんてわからなかった。けれど確信していた。
ある、この港にそこに行く船がある、このことを直感的に確信して。
僕はその船を探した。すると本当にあった。しかももう少ししたら出航するところだった。彼女がいるその星に、今まさにだった。
それを見て。僕はすぐにだった。
チケットを買ってそれから。港に入って船に飛び乗った。その僕に船員の人が言ってきた。昔の、二十世紀の駅員さんみたいな服の人だった。
「何処まで行かれるんですか?」
「彼女のいる場所に」
船員の人にもこう答えた僕だった。
「そこに行きます」
「彼女のところにといいますと」
「この船の終点です」
そこだった。彼女がいる場所は。
そこに行きたいと言って。チケットを出した。船員の人はそのチケットを見て。
船員さんは納得してくれた顔になって。それでチケットを受け取ってくれてそれから僕に言ってくれた。
「わかりました」
「いいですね」
「チケットがありますから」
だからいいと言ってくれた。
「では今から出航ですのね」
「有り難うございます」
「いえ、いいです」
僕が急に飛び乗ったことはいいと言ってくれた。優しい人だと思った。
そしてその優しい船員さんは僕にこうも言ってくれた。
「そこに何かがあるのですね」
「はい、あります」
その確信に基いて。僕は答えた。
「だから行きます」
「そうですか。けれど遠いですよ」
「わかっています」
それはもうわかっていた。けれどそれでもだった。
僕はそこに行くと決めた。一度決めたからにはもう降りたくはなかった。
それでだった。僕は出航を待つことにした。後はもうそこに向かうだけだった。
だから船員さんに。こう告げた。
「船旅も楽しませてもらいます」
「わかりました。では一緒にそこまで」
船員さんも言ってくれた。こうしてだった。
僕はその星に向かって出発した。汽笛が鳴って。
出航の放送がかかってから。船はゆっくりと動きだした。
そのまま港を出て銀河に出る。銀河には無数の星が瞬いている。
それを見て僕の胸は自然に高まった。これまで何度か宇宙に出て星の瞬きを見てきたけれど今度の
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