第一章 それは始まりの物語
第0話 それは突然の出来事
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。音ノ木坂の運営も非常に厳しく、このままでは廃校という選択肢も逃れることができません。そこで数年前に提案したところ、”共学化”という案が生まれたわけです」
「その第一回生が俺、ということですね」
はい、と南理事長は深く頷く。数年前からそのような予兆があり、今年ようやく準備ができた。そして俺が選ばれた。
「その、俺を選んだというのは?」
「貴方のお母さんとは古い頃からの付き合いでして、詳細を話すことはできませんでしたが相談にも乗っていただいておりました」
母さんからそんな話を一度も聞いたことなかったが……。
つまりは俺がここに来るかもしれないというのは昔から決まってたとでもいうのか?
「あんのクソ母さんめ……息子の人生なんだと思ってるんだ」
「ふふ、貴方のお母さんは昔からそうでしたからね」
なんとも楽しそうにそんなことを言うもんだから、これ以上は何も言えなかった。
コホンと咳払いして話を戻す。
「まぁ……前の高校でも色々ありましたから。これはこれでいい機会だったのかもしれません」
「そうですか。それはこちらとしては非常にありがたいお言葉です」
「ですが、俺がその試験生としてすごして……何も変わらなかったときはどうするんですか?こんなどこにでもいるような男子高校生一人に音ノ木坂の未来を救えるだなんて思ってませんよね?」
「ううん、他のお偉い方へは適当に言ってしまいましたが、私の本心はそこにはありません」
なんだいって?と、訝しげに理事長を見つめる。すっと立ち上がった理事長はそのまま窓の先の空を眺めて、まるで独り言のように語りだす。
「私は、女子高という括りを外すべきだと思っていました。世の中には女性もいれば当然男性もいます。勿論女子だけでしか学べないことはあるます。男性だけでしか学べないこともあります。ですが、私はそれだけでは無いと思うから、”共学化”という案を思い切って提案したのです」
「それだけじゃない、ですか」
「ええ……それはあなた自身が、その答えを見つけて欲しいのです。一年間。もしかするとそれよりも早く結果が出るかもしれません」
……一年間。そう、与えられたのは一年間だけ。もしかするとそれよりも早い段階で戻されるかもしれない。だけど、俺はその短い時間の中、新しい場所で友人を見つけ、、学んで、青春を送る事。
それが俺に与えられた役目。
風となって、音ノ木坂に新しい道を導くこと。
「大変でしょうけど……これから、よろしくお願いしますね?笹倉くん」
カッコいい理事長だなと思った。
期待10割となった今、男が俺一人だけでも楽しい高校生活を送れるようにいくしかない。
―――そう心に決めた
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