第一章 それは始まりの物語
第0話 それは突然の出来事
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かないにしろ、問題は高校生活の方にある。
一生に一度の高校生活を有意義なものにしたいと、中学卒業時は考えていた。まさか前の学校であんなことになるとは思わなかった。
しかし、不幸中の幸いとでもいうべきだろうか。
今回の音ノ木坂転入という事案が流れ込み、高校生活をリセットできるのではないかと考えていたものだ。女だらけという不安5割新生活に期待5割といったところだ。
「まぁ、その期待5割の為に色々捨てちゃったけど……何とかなりますように〜」
その色々捨てたというのは勉強環境だとか友人関係だとかそんなところ。
勉強環境はよかったが、友人関係は良くもなく悪くもなく。
「何時頃理事長さんがやってくるんだっけ?」
誰に言うでもなく独り言ちながら案内書を確認する。
8時40分ごろに迎えるに来るとのことなので、俺は特に何するでもなく大きく欠伸をしていた。
「遅刻〜!!!!!!遅刻だーーーー!!」
声がしたのは背後。振り向いた先には目玉焼きを乗っけた食パンをくわえた女子高生。
オレンジ色の髪をちょんと片方で結った、いわゆるサイドテールという髪形をした女子高生がスマホで時間を確認しながら真っ直ぐ俺の方に突っ走ってくる。
当然俺の方を見ていない。
俺も俺で、あまりにも急な出来事だったので体がまったく反応してくれなかった。
「おいぃっ!?前を向け前を!!」
「えっ?きゃああっ!!」
???彼女の瞳は水色だ
そう認識したときには彼女の顔を眼前に広がっていて……。
「ごめんね!怪我とかなかった??」
「あぁ、いや。お気になさらずとも。そちらこそ、大丈夫ですか?お怪我は……?」
「いやぁこれくらいなんともです!穂乃果はこう見えて丈夫ですから!!」
???穂乃果
そう名乗る彼女の額は僅かに赤く腫れあがっていて、さすりながら舌をぺろりと出してそう言う。
俺も同様に額をぶつけてしまい、びっくりしたけどソレとは違う何かが全身を掠めた。
「そうですか……申し訳ないです」
「いやいいんだよ!穂乃果がちゃんと前向いていなかったからこうなっちゃったわけで……って、あれ?」
ふと、彼女が俺の顔をじっと見据えて眉をひそめた。
まるで俺の骨の奥底まで見透かされているような、そんな眼力にたじろいでしまう。しかし、そのまま見据えていたかと思うと今度はゆっくり顔を近づけてくる。
彼女の瞳の奥底には、驚いている俺の顔が写っていて。
それ以外何も映っていないことが少しだけ、怖かった。
「……っ!?キミ……もしかして???」
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