第一章 それは始まりの物語
第0話 それは突然の出来事
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けていたに違いない。完全に俺の事を転入させる気満々である母親にちょっとばかり怒りが沸き起こる。
「その……さ。音ノ木坂の現状ってどんな感じなんだ?廃校廃校って言われても」
「んっとね……三年生三クラス、二年生二クラス、一年生一クラスと年々数が減って来てるのよ」
「あっそ。ご愁傷さまだな。俺には関係ないね」
俺は茶封筒の中身ごとごみ箱に捨ててさっさと二階へあがろうとする。そう...俺には全く関係ないんだ。母さんの母校だろうが、そこが廃校になろうが...俺の人生になんにも影響がないんだ。
それに……あの子から離れるのは少々よろしくない。
僕を一年支えてくれた”彼女”の元を……
「お願い待って!」
「な、なんどよ!俺は行かねぇからな!!」
母が俺の腕を掴んで真剣な眼差しを向ける。
しばらく静寂が訪れ、時計の秒針のコチ、コチ、コチという音のみが響く。
振りほどこうと腕を振り回すも母はかなり力を込めて掴んでいて一度は離れるもすぐにガッツリ鷲掴みをしてくる。
母はこう言った。
「お願い大地!大地にしか頼めないの!私は昔南理事長に助けてもらってる事があって、まだ借りを返してないのよ!だから『音ノ木坂学院共学化試験生』という今回の彼女の相談に私はのったの!南理事長の”一人の親友”として力になりたいし、それに”大地の今後の為”でもあるの!」
「......は?女子高に男一人が混じって高校生活おくることが今後の俺の人生の為になるとか、母さんは本気でそう思ってるのかよ!下手すると俺の下心全開で振りまくぞ。いいのか」
「大丈夫よ。大地はそんな見境なく女の子を襲えるほど肝が据わってるとは思わないし、仮にそんなことがあったとしても、そんな何十人、何百人も襲って孕ませて養えるほど甲斐性がある息子の息子だとは思ってないわ」
「……お、おう」
母さんの言う通り、そんな大勢の女性を籠絡するほどの精神やいろんなものを携えているわけでは無い。しかし、母さんにああまで言われた上にさり気無く下ネタぶちかまされて出す言葉を失ってしまった。
まぁ、確かに親友である南理事長の相談にのって、彼女の為に一緒に解決の策を練った。その気持ちはよくわかる。俺も”彼女”によく相談してたからな。
だからと言って、自分の息子をわざわざ利用してまで助けるべきなのか。そういうことは甚だ疑問である。親友と息子。どちらを選ぶか...非常に難しい選択だった。だからこそ、母は南理事長のことを考えて、俺のことを考えて。
「大地の事を思ってるからこそ、私はこの相談を引き受けたのよ。貴方が音ノ木坂で青春を送ることができれば、”彼女達”と接し合うことができれば、貴方は変われる。間違
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