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第十七話 イゼルローン要塞に赴任なのです。
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帝国歴482年8月1日――。
自由惑星同盟――。
 この年、自由惑星同盟側にとって、エル・ファシル星域会戦以来の出兵人事が起こっていた。出兵と言っても、大規模ではなく、一個艦隊の出撃であったのだが。
 出兵部隊は第六艦隊司令官ヴィラ・デイマン中将以下15000隻である。なぜ、一個艦隊のみが出撃したかというと、これはありていに言えばパフォーマンスであった。


 エル・ファシル星域奪還作戦はシドニー・シトレ中将率いる第八艦隊の勝利で終わったものの、その後余勢をかって帝国本土へ出撃しようという動きはなかった。ブラッドレー大将が「待った」をかけたし、何よりこの当時同盟の政権担当者が保守的な人で、攻勢をかけるのを良しとしなかったことにある。大艦隊を運用するのには、ただでさえ金がかかるのに、それを戦闘艦隊として派遣するとなると、大規模な予算を割り振らなくてはならない。


 だが、奪還後も回廊付近を中心に局地的な散発戦闘は続いていた。ほぼ2年近くにわたって大規模な会戦はなく、国力は落ち着きを取り戻しているが、それだけにどこかしら怠惰な雰囲気が同盟全体に漂っていた。
 束の間とはいえ、平和が到来すると、民衆の悲しさ、政権への関心は薄れ、地方選挙での投票率は下がり、それが中央政界へも波及してくるのはお決まりの事である。
帝国と違い、同盟においてはこうした支持率を常に気にかけなくては、軍も政治もできないという状況にあった。民主国家の宿命である。
 そこで、同盟側の政治家、軍上層部は同盟において完成した新鋭艦のテスト航海をかね、一個艦隊をいわば「示威行動」として派遣することとしたのである。

 その、ヴィラ・デイマン中将は自由惑星同盟最高評議会の現議長ピエール・サン・トゥルーデのお気に入りであり、さらにヨブ・トリューニヒト国防委員等の次代の有力若手議員ともつながりがある人物である。能力は平凡だが、それだけに自分に見合った任務を着実にこなし、ここまできた人物だった。
 その第六艦隊には、これもヨブ・トリューニヒトらとつながりのあるムーア准将の部隊が加わっており、その参謀長としてシャロン・イーリス中佐が赴任していた。シドニー・シトレ中将率いる第八艦隊には、副官兼参謀としてヤン・ウェンリー少佐が赴任してきており、シャロンは表向き栄典ではあったが、その反動で押し出される形となっていた。

 これには、統合作戦本部長のダニエル・ブラッドレー大将の意向が働いている。最高評議会議長ともトリューニヒトとも距離を置くブラッドレー大将にとっては、第六艦隊の司令官以下の面々の能力については、信用していなかったのである。そこで、シャロンを送り込むことにしたのであった。

 当のシャロンは唯々諾々と赴任していったが、その胸中はいかばかりかとシトレ中将もブラッドレー
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