第六話 魔道技師のお仕事
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なっているのに気がついた。
ひょっとして誰かの悪戯だろうか?
そう思いつつも別の可能性が頭に浮かびノブを回すと、案の定軽く回ってドアが空いた。
店内は暗い。
無人なので当たり前なのだが、施錠していた筈であるにかかわらず空いてしまったドアの存在が、当事者のライドにとっては当たり前ではなくなってしまっていた。
だが、背後の男にとってそんな状況は知る由もなく、立ち止まったライドの脇腹に容赦なく短剣の刃を喰いこませる。
そうして押し出されるように1歩2歩と店内に入り込んだライドの目に映ったのは、本来店主が座るべく椅子に腰を下ろした頭にターバンを巻いた目つきの悪い若い男と、取引の際に使用する机に腰を下ろして、足をプラプラとさせている赤い髪の少女の姿だった。
「貴様、魔道技師だな?」
「…………」
目の前のターバンの男の口から飛び出したのは、本日の悪夢の始まりを彷彿させる言葉と類似した響きを持っていた。
その言葉に、真横に位置していた第一の悪夢である男の手に力が入ったのがライドに分かった。
主に、脇腹に押し付けられた刃の強さで。
「何とか言ったらどうだ? それとも、そちらの男の方が魔道技師か?」
視線をライドから脅迫者の方へと変えるターバンの男。
恐らく生まれつきなのだろう切れ長の目はただでさえ目付きが悪く見えるのに、ターバンの男はそれを隠そうともせずに細めてみせる。
恐らく、意図的にやっている部分もあるのだろう。その姿はどこか猫科の野生動物を思わせた。
「そっちの人はぁ、多分違うよぉ」
どこか間の抜けた声はライドのすぐ傍から聞こえた。
そのあまりの距離の近さにライドはギョッとしながら声のした方に目を向けると、先程まで机の上に座っていた少女が右前1歩程の場所でニコニコと立っているのが見えた。
本来は長いのであろう赤い髪を頭の後ろで結い上げており、低い身長と相まって非常に幼く見える。ニコニコとしているからわかりにくいが、少女の目もターバンの男程ではないが切れ長で、笑っていなかったならその目つきの悪さが印象に残ったに違いない。
ただ、少女の方はターバンの男とは違い纏った空気もユルユルで、どちらかといえば甘やかされた飼い猫だ。
無警戒に他人に近づき、誰にでも愛想を振りまく種類の人種に見えた。
最もそれは、腰の後ろでクロスするように下げられた2本のショートソードに目を向けなければ……だが。
「さっきお家のドアを開けたのはこっちのお兄さんだし、そこの緑の髪の人はお兄さんにナイフを刺そうとしてるもん」
ライド、脅迫者の順に右手で指をさしながらそう言い放った少女の言葉に、ライドと脅迫者双方が目を見開く。
特に脅迫者の方が驚いたようで、ラ
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