第二十五話:対決・紅の姫騎士(下)
[6/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
女の背後へ忍び寄っていく。
気付いてくれるなと願いながらスコップを振り上げ―――脳天目掛けて振り下ろす……!!
果たして―――――
「っはっ!!」
「あがぁぁっ!?」
「!」
俺の一撃は、ロザリンドの頭を強かに打ちすえた。
コレで行ける、後はフン縛るだけだ……!
―――コイツの敗因はたった一つ……怒りで我を忘れ、予想外に鑑みず切り札を暴発させた事だ!
「マリス!」
「……了解」
俺の叫びに合わせ、マリスが【鋼糸鏖陣】を伸ばして捕えるだけ―――
「っ……かあぁっ!!」
「「!?」」
なに……!?
衝撃で頭がはっきりしない筈なのに……【鋼糸鏖陣】を振り払って、しかも普通に立っているだと!?
「ふぅ……危なかった。そうだったね、君はそういう男だった、忘れていたよ。流石に窮地に立たされ掛けたと言わざるを得ないね」
「……お前、どうやって……!」
「何、簡単な事だよ。恥ずかしながら、気配はまるでなかったよ? でも―――殺戮の天使の瞳に君が映っていたのさ。ギリギリで【天使の羽衣】も間に合った」
しまった……!?
俺は内心で驚愕し、且つ己の容姿を恨んだ。
よりにもよってロザリンドよりも背が高いという事が、此処に来て重大過ぎるネックとなってしまったのだ。
彼女の周りには、紅い光の結晶が既に降り注いでいる。
それは人知を越えた異質な力……ダメージなど、無いに等しくて当たり前。
更に俺は愚かな事に、此処でもう一つ“間違い”を犯していた。
木村玉子は己の纏った『紅薔薇の剣姫』の概念にこの上なく忠実であり、弱者を傷つける事を嫌うという、設定通りの振る舞いをしている。
……だが、逆に言えば何処までを『傷付ける』とするのか、何処にラインが引いていあるのかはロザリンドの匙加減次第なのであり―――――
「ぃやあぁぁぁっ!!」
「う、おぉぉぉっ!?」
不確かに希望にすがり立ち尽くしてしまっていた俺は、彼女の投げ技を馬鹿正直に受けてマリスに激突し、重なり合うようにして諸共に叩きつけられる。
……なけなしの頭脳で必死に作戦は、たった一つの杜撰な力技で、見るも無残につぶれてしまった。
「所詮、小賢しき邪道では王道たるこのボクを超える事など出来ないのさ」
起き上る暇もなく目の前に剣を突きつけられ……二人纏めて貫ける状況を前に、必然的に身動きを封じられる。
歯を食いしばる俺の下で、マリスが何処か愁いを帯びた声音で呟いた。
「……参った」
「敗北と言うのは受け入れ難い物だ……それを認め
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ