第二十五話:対決・紅の姫騎士(下)
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……だが、物量が違い過ぎる。
最初こそ対応できていても、消滅させた時よりも更に桁を増して跳び込んでくる紅薔薇に、徐々に徐々に押されていく。
増殖する紅色は全く止まらない。
それは奇しくも初日に闘った時と、居る場所以外全く同じ光景を作り出していた。
「無駄だ! 無駄無駄! 【皇帝の紅薔薇園】が発動してしまった以上、何人足りともこの咲き誇る薔薇達から逃れる事など出来はしないっ! 君の敗因はたった一つ……このボクを怒らせた事だ!!」
美しさなどそれこそ欠片も無くなった、正に必死に必死を重ねた表情で、ロザリンドは強引なまでに勝ち誇る。
ああ、漸く廻って来たな……またとない『チャンス』が……!
「―――っ!」
俺は無言で隠れていた穴から跳び出した。
穴を掘ったのは何も、【漆黒爆弾】を隠す為だけじゃあ無い。
それだけでは純然たる実力差を覆すは全く足らない。何れ今の様な袋小路に陥っただろうことは、幾ら闘いに縁がない現代人である俺とて理解できる。
では、それを“更に覆す”には如何したら良いのか?
……答えは当然、更に『卑怯を重ねる』事だ。
【皇帝の紅薔薇園】の弱点は以前も聞いた通り二つあり、一つは強制的に【天使の羽衣】が解除されてしまう点。
そしてもう一つはオートで攻撃できる半面、『敵と認識した物しか攻撃できない』と言う点だ。
目の前に敵を捉えさえすれば終わりなき波状攻撃を仕掛けられるのが【皇帝の紅薔薇園】の利点だが、裏を返してしまえばそれ以外の対象へは無防備な状態を晒す事に他ならない。
オマケに腕力と言った攻撃方面なら兎も角、単純な防御力では俺たち普通の人間と差が其処まで開いておらず、つまり後頭部を思い切りぶっ叩けば昏倒させられる可能性は “大”。
幾つもの能力を持ち合わせているだろう主人公とも渡り合えるラスボスの弱点は……盲点だったか敵とも認識できない “普通の人間” だった。
まずはマリスが序盤普通に戦い、油断したその時を狙って誘導し【漆黒爆弾】の罠。
更に煽ってロザリンドを憤慨させ、【剣魔の領域】を無理矢理発動させる。
……そして、最後は俺が後頭部に決める。
コレが、俺の思いつく限り最優の策だと言わざるを得ない。
寧ろ常識無視の人外にこの策で対抗できるのだから、ある意味で幸運だったとも言えるだろう。
「潰えよ殺戮の天使! 貴様の墓標は此処となるのだ!!」
興奮し過ぎて全く周りが見えていない、そんな今こそ最大の好機。
オモチャの潜望鏡を地に置き、手に持ったスコップを振り上げ、速すぎず遅すぎず、不必要に音を立てず出来る限り気配を殺し、彼
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