第二十五話:対決・紅の姫騎士(下)
[4/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
きあがる爆炎が、ロザリンドの炎龍を何でも無いかの様に打ち消してしまった。
ムトゥーヨガー堂で行ったモノと原理は同じで、しかし今回は地面に埋めてある為ぶつける必要がなく、以前よりも楽に対処できたようだ。
というか、無効化の対処策がある技を、何で繰り出したのかアイツは……。
「……これは一昨日の応用……覚えてない? 頭、悪いの?」
「う、五月蠅い! 失敬だぞ君!」
もはや颯爽と振舞う事も忘れたか、ロザリンドは顔を真っ赤にして食ってかかり始めた。
「それに卑怯だぞ、卑怯! 先に罠を仕掛けておくなんて!」
「……宮本武蔵を気取っただけ?」
「武蔵だって爆弾は仕掛けなかったぞ! ……というかだから何で疑問形なんだ!?」
「……フフフフフ」
無表情で口すら動かさず、声だけで笑うという気様な真似を披露して見せるマリス。
ぶっちゃけキモイが……卑怯がどうだという言葉は受け流せたらしく、ロザリンドは別の事で文句を言い始める。
「きき、君! もしかしなくてもボクの事を馬鹿にしているだろう!?」
「……え? 今気が付いた?」
「〜〜〜っ!! 分かっているのかっ!? このボクを愚弄するなんて万死に値する行為だぞ!!」
「……ふぅ〜ん、へぇ〜」
「い、言った傍から……! !? い、いや落ち着け、待て待てコレは罠だ、頭に血を登らせてボクを貶めようと―――」
「……玉子って素敵な名前。……ほら、返事して? た・ま・こ・ちゃぁ〜〜〜ん」
「もう許さねぇぇぇえええええぇぇぇ!!!」
激昂すると同時、ロザリンドの右籠手が内側からはじけ飛んだ。
それは第二の封印が解けた証であり―――右手の甲薔薇型の傷が刻まれ、鮮血を滴らせる。
この程度で【剣魔の領域】まで発動させるとは……煽られ体勢がまるでない奴だ。
「謝ったって許してやらないからなぁぁああっ!!!」
【皇帝の紅薔薇園】の発現により、辺り一帯が薔薇で真っ赤に埋め尽くされる。
つい先ほどまで存在していた、長閑で閑散とした原っぱの面影など、もう欠片も見当たらない。
花をつく他者にとっては良く香る高貴な匂いが、俺にとっては酷く鼻が曲がるとも感じられる臭いが、何の嫌がらせなのか此処まで届いて来る。
何千何万と咲き誇る薔薇が一斉にマリスへと殺到し、有る花は身体を撃たんと、またある花は彼女の身を縛せんと、次から次へ波状的に攻撃を仕掛けてきた。
マリスも負けじと、己から地から放つ【漆黒爆弾】で焼き払い炭と化させ、大蛇の如くうねり暴れる【鋼糸鏖陣】で中空へと花々を斬り飛ばして行く。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ