第二十五話:対決・紅の姫騎士(下)
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も恐らく、手を貸してくれる。
「……っ!」
両手を構え、しかと剣を見据え―――――瞬間、身体が後ろに引っ張られる。
よろめきながらも見つめる俺の視線の先には……マリスがいた。
「……麟斗、逃げて」
「何故……っ!?」
「……私は殺戮の天使じゃない……麟斗に、死んでほしくない」
「殺戮の天使如きが、悪辣なる死神が聖者を装うか!! そんなぁ……そんな猿芝居にぃ、騙される者かアアァァッ!!」
負の感情が限界まで振り切ったロザリンドは、無慈悲なまでに剣を振り下ろす。
俺の視界に捉えられた光景が、ひどく緩慢に流れて行く。
止めろ……。
何で、そう犠牲になる方を選ぼうとする?
上手くいく保証無かった、でもお前が援護してくれればグッと確率は上がった。
―――現にそっちの方が合理的だったはずだ!
なのに何故俺だけを庇おうとする……何故命を絶たれようとする!?
「やめろっ……!!」
こんな時に役に立たない自分の身を、俺は憤激しかねないまでに恨んだ。
【天使の羽衣】越しに殴れるからなんだ? 身体能力が高いからなんだ? 肝心な時に役に立たないなら会ってないも同然だろうが……!!
「ッ……マリス!」
一緒に帰りたい……!
飯の味が不味くたっていい、大食いし過ぎて転がってもいい……マリスに鍋を味わってほしい、彼女に団欒をもっと感じて欲しい。
家族への不信が限界まで募り、もう俺が心から深く抱く事の出来ない感情を……しかしマリスはまだ確り受け止める事が出来る―――だからこそ共に生きて帰りたい……!!
「く……おおぉぉぉおっ!!」
俺の中に……居るんだろ、“あの日” 全てが変わった原因が!
なら力を貸しやがれ! 中途半端ににじみ出たまま燻ぶっているんじゃあねえ!!
今だけでいい!
ロザリンドに一発叩き込む力を―――吹き飛ばせるだけの力をよこせ!!
よこしやがれ!!
「……っ!!」
ありったけの激情を込めて、藁にもすがる思いで俺はただ願う。
――――突然だった。
何故だろうか……身体には何の変化もないというのに、スローモーションで流れる景色も俺の走る速度も変わらないのに……奇妙な感覚が俺の『中』を突きぬけて行く。
更に、口が勝手に動き始める。
全く意味がない筈なのに、声が勝手に飛び出て来る。
「Vi?a ir cilv?ks, izmitin??ana vardarb?gu karalis」
何故それを知っているのか、
「|Ka
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