第二十五話:対決・紅の姫騎士(下)
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うに太い一本を頼りに跳び退る。
更に抜け目なく、網目状にした極細の【鋼糸鏖陣】を置いておく徹底ぶりを見せつけた。
「ちょこざいな!!」
だがそれもロザリンドのパワーの前では数秒持たない。
すぐにそれらを断ち切って、幾分か離れた筈の距離を即座に詰めて来る。
そのまま上段に剣を構え、より高々掲げて柄を力強く握る。
「ハハハハハ! 引導を渡してくれる!!」
いっそ変わらぬ爽やかさを感じさせる声音から、更に一瞬の間隙を置いて前傾姿勢から跳躍し、消えたのかと見紛うスピードで剣の届く範囲まで接近。
清々しいまでの小細工なしで、正面上空からロザリンドは豪快に剣を振り下ろす。
刃が、歯が、鎧がきらりと陽光を反射して光り、
「……嫌」
直後に地面が、爆発。
「のおおぉぉぉっっ!?」
笑顔のまま更に宙高く吹き飛んで、ギャグ漫画見たく頭から地面に埋まった。
自身も、胆力も、一撃も、全てがたった一発の爆破によってある意味木端微塵に消えた。
「さ、殺戮の天使! 何だ……何だ今のは!?」
甲冑を着ているとは思えない―――とはいっても籠手と脚と首元ぐらいしか“鎧”と呼べる部分は無いが、それでも其れなりに重いだろう装備にもかかわらず、トンボ切って軽く跳び上がりロザリンドは目を白黒させながら立ち尽くす。
「……知らない」
「とぼけるな! あれは君の【漆黒爆弾】だろう!? と言うかそれ以外に考えられない!」
「……なら聞かないでくれたまえ?」
「ボクの真似をしないでくれたまえ、キャラが被る!! と言うか何故に疑問形なのだ!?」
ロザリンドがどうでもいい事で怒り、俺は心底阿保なのかと思ってしまう……半面、『作戦通り』だと心の内で歓迎していた。
「だが、あの黒い球体など影も形もなかった筈……」
其処でハッとなるロザリンド。
どうもバトルに関しては根っからの馬鹿でもなければ、勘が悪い訳でもないらしく、自分で気が付いたらしい。
その視線は、地面の方を向いている。
「……そう、埋めておいた」
マリスの言う通り、この天王山ハイキング場には無数の穴が掘られ、土被りの蓋などでカモフラージュされたその中には【漆黒爆弾】が入れられている。
その穴がここら一体にビッシリある訳だ。
昨日今日と此処を訪れていたのは、事前のこの準備をする為だ。
体術だけじゃあ無く、例え卑怯でもここまでしなければ、スペックの差を覆しようがないからな。
当然体術の鍛えも無ければ、今見たく誘導する事も出来なかっただろうが……。
「埋めた……ど、何
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