第二十五話:対決・紅の姫騎士(下)
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「はあああぁぁぁっ!!」
担ぐような構えに移行してから間髪置かず、一蹴りでマリスとの間合いを五メートル近くまで詰めて来る。
更に一瞬の間隙を置いて前傾姿勢から跳躍し、消えたのかと見紛うスピードで剣の届く範囲まで接近。
その手に宝剣を携え、マリスを袈裟掛けに真っ二つにせんと力を込める。
「我が輝きを目に映し、喰らいたまえ……この覚悟の剣をッ!!」
過剰なまでの自身が齎す小細工なしの一撃を、この決闘でなお爽やかさを感じさせる交渉を上げ、剣が振り下ろされた。
「……!」
マリスは紙一重で回避し、敢えて己が突っ込んでいく。
左ストレートをロザリンドの顔目掛けて繰り出すも、悠々回避されて追撃が襲いかかってくる―――
「……ほっ」
「む!?」
―――が、事前にバネ状にして待機させていた【鋼糸鏖陣】を伸ばして、飛び上がりでの回避と同時にスピンキックを叩き込む。
「おっと!!」
笑みは崩さずに仰け反りながら刃を振うロザリンドへ、マリスは二股に分けた【鋼糸鏖陣】の片方を彼女へ向けて振いつつ、後ろへ伸ばしたもう片方を地面に引っ掛け弾かれたような勢いで退避した。
「ほう、随分戦い方が上手くなったものだね!」
「……麟斗に鍛えて貰った」
「なるほど、あの灰色髪の彼か……思わぬ伏兵がいたモノだ」
評価されている事、そして今回ばかりは様がないと突っぱねられなかった事は嬉しいが……しかしそんなものでは内に湧きあがる悔しさは打ち消せない。
……本当なら今すぐ飛び出して後頭部をぶん殴ってやりたい所だ。
―――否、雪辱を晴らす為に、真正面から拳を叩き込んでやりたいと心から思う。
されどそんな事をすれば全てが水の泡で、何より俺自身も大事な役割がある。
元より感情だけで飛び出す気など、今限定ではあるが……更々ない。
「だが所詮は付け焼刃……荒が多い様だね!」
「……!」
恐るべきスピードで肉薄してきたロザリンドに不意を打たれたか、マリスは咄嗟に【鋼糸鏖陣】をしならせ大剣の一撃を防ごうとする。
しかし初の太刀で後方へ退けられ、マリスの身体を断たんと二の太刀が降り注ぐ。
「……まだまだ……!」
ロザリンドの力も恐ろしいが、マリスも中々の物。
弾かれた事にあえて逆らわずその方向に伸ばし続け、幾重にも枝分かれさせた瞬間……細い一本で僅かながらに刃の軌道を変え、脚技を組み合わせて剣の腹部分ギリギリを蹴る。
それでもまだ勢いは足らず―――しかし剣が返される前に、瞬時にワイヤーを巻き取るかによ
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