暁 〜小説投稿サイト〜
英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜(閃U篇)
外伝〜”帝国解放戦線”リーダー、クロウ・アームブラストの過去〜
[3/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
「ああ……それが知りたいんだ。教えてくれ、クロウ。」

「……ったく。……ま、よくある話さ。歴史の教科書あたりにはそれこそ幾らでもありそうな……そのまま忘れ去られちまってもおかしくないような話だ―――」

リィンの言葉に溜息を吐いたクロウは自分の過去を話し始めた。


「『ジュライ市国』―――。ゼムリア大陸の北西沿岸部に位置し、エレボニア帝国西部、ノーザンブリア、レミフェリアとの海上貿易で繁栄してきた都市国家。人口は15万人程度……規模としてはささやかなモンだ。その分、周辺国からも絡まれもせず、適当に上手くやってきた……そんな幸運な都市国家だった。―――20年くらい前までは。



ノーザンブリア大公国で起きた国土が塩に侵蝕される異変……通称『ノーザンブリア異変』以来、北西沿岸の交易は大幅に縮小した。それなりに豊かだったジュライも目に見えて衰退を始めていった。―――それでも歴史のある街並みやら北海の漁業資源なんかがあったし、七耀石の鉱山もあったからな……そういったものを有効活用しながら隣国のノーザンブリアを支援しつつ、徐々に交易圏の回復を狙う……それがオレの祖父さん―――当時のジュライ市長の考えだった。



ジュライ市国、最後の市長。頑固だが茶目っ気もあって市民の誰からも慕われていた老人。早くに両親を亡くしていたオレにとっては唯一の肉親で……色々な事を教えてくれた”師匠”とも言える存在だった。お前の老師と同じようにな。



―――10年前の事だ。もうひとつの隣国―――エレボニア帝国の政府がある一つの提案をしてきた。帝国からの鉄道網を延長してジュライまで直接通すってな。元々、海運中心の街だったが巨大な帝都と鉄路で繋がれば新たな活路も十分見出せる。市議会の賛成に押し切られて祖父さんは結局、その提案を呑んだ。



わずか1年で市国は息を吹き返し、街はかつてない賑わいを見せていった。だが……それは巨大な帝国資本がジュライに流れ込むのと同義だった。市国の土地や建物は買い漁られ、あらゆるものが投資の対象となり、誰もがミラ儲けに沸く―――クロスベルでも起きていたらしいがジュライでは対抗勢力が存在しなかった。祖父さんは危機感を覚え……色々と対策しようとしていたらしい



そんな中―――ジュライへの鉄道路線が何者かに爆破された。一刻も早い復旧が叫ばれる中―――帝国政府がそれに”待った”をかけた。『ジュライは余りにも安全保障体制が脆弱』『帝国資本も全て引き上げる』――――



誰もが騒然となり、関連株は暴落し、犯人もわからぬまま市国は混乱した。そんな中、ヤツが……就任3年目の帝国政府代表、ギリアス・オズボーン宰相がジュライに直接乗り込んできたんだ。そして―――こんな提案をしてきた。『鉄道復旧と、今後の警備は
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ