暁 〜小説投稿サイト〜
英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜(閃U篇)
外伝〜”帝国解放戦線”リーダー、クロウ・アームブラストの過去〜
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「フィッシュバーガーってやつだな。なかなかイケるだろう?」

「ああ、タルタルソースもちょっと珍しい味付けで……モグモグ……いや、これは凄く美味いな。昨夜の立派な料理よりも個人的には好きなくらいだ。」

「お気に召したようで何よりだ。久々に厨房で腕を振るった甲斐があったぜ。」

「え……これ、クロウが作ったのか!?」

自分が食べているランチを目の前の男が作った事にリィンは驚いた。



「ま、さすがにシャロンさんの足元にも及ばないけどな。俺の故郷―――”ジュライ”のソウルフードみたいなもんだ。」

「あ…………」

クロウがふと呟いた言葉を聞いたリィンはオズボーン狙撃の後にクロウと対峙したクレア大尉の言葉を思い出した。



帝国解放戦線リーダー、”C”―――いいえ、旧”ジュライ市国”出身、クロウ・アームブラスト!



「…………」

「そういや、ヴィータのやつが妙な”実況”をしたみてぇだが……ちょうどやり取りを見ていたのか。」

「ああ……ジュライといえば、8月の特別実習でB班が向かった北西の経済特区……クロウは……自分の故郷に行ってたんだな?」

クロウの言葉に頷いたリィンは複雑そうな表情をした後真剣な表情で尋ねた。



「ああ、偶然にもな。街並みも結構変わっちまったから少しばかり戸惑ったが……懐かしかったのは確かだぜ。」

「……………………―――ずっと、気になっていたんだ。クロウがどうして”帝国解放戦線”に入ったのか。どんな事情で、オズボーン宰相にあれほどの憎しみを向けたのか。」

「……………………」

リィンの疑問を聞いたクロウはリィンから視線を逸らして黙り込んでいた。



「―――教えてくれ、クロウ。クロウが辿ってきた道……ジュライがどういう場所で、クロウがどう過ごしてきたか。士官学院に入って、会長たちと知り合うまで何をしていたのか。」

「ハッ、野郎の過去なんか詮索したって面白くねぇだろ。そういうのは、Z組の中の気になる子くらいにしとけよ。やっぱりアリサやセレーネか?ラウラか?委員長やフィーあたりか?それともプリネやツーヤ、エヴリーヌか?おっと、まさかミリアムってことは―――」

「知りたいんだ、クロウ。今度こそ………50ミラの利子代わりだ。それを知らない限り、俺は、俺達は先に進めないと思うから。」

「…………お前…………」

リィンの意思を知ったクロウは真剣な表情でリィンの目をジッと見つめた後立ち上がって窓へと近づき、外の景色を見つめ始めた。



「クロウ……」

「言っておくが、そんな大層な話じゃねえぞ?お前の過去に較べりゃ、こんなモンかっていうくらいの平凡で、ささやかな昔話……それでもいいのかよ?」


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