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君といたい町
第1話 広島県
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 その彼の目は懐かしみのブルーの色をしていた。



「おお〜!!拓斗!久しぶりじゃのぉ〜!元気しとったか!」
「あ、あぁ......。お前も相変わらずだな」
「まあな。ん?というか拓斗広島弁抜けたのか?」



 俺が広島弁を使っていないことに疑問を感じ、そう訊ねてくる。
確かに広島(こっち)にいたときは広島弁を行使していたけど、上京して馴染むためにずっと標準語を使っていたから癖で標準語になってしまった。
 意識すれば広島弁を使えることもできるが、ここはまず、



「そうだな....ずっと標準語だったから抜けたのかもな」
「ふ〜んそうなんじゃ。もうすっかり都会の人間になっちまったんじゃな」
「.....別にそういうわけじゃないけどな。ただ向こうの生活やら喋り方になれちゃっただけだよ」



 


 青人は俺の広島弁が抜けたことが少し寂しそうに話し、少しは心配してくれていたんだなって。
苦手な奴ではあるがこういうところは嫌いではない。

誰よりも仲間思いの青人が。



「ねぇねぇ青人くん。この子は誰?青人くんのお友達?」
「うわっ!バカ!出てこんでもええ!」
「ちょっと押さないでよ!!」



 ばたばたと、後ろでもぞもぞ動いていた紫色の髪の女の子が青人を押しのけて俺の前にやってきた。


「へぇ〜、すっごくかっこいい人だね!」
「え?あ、いやそんなことねぇって」
「名前はなんて言うの?私は枝葉柚希!よろしくね♪」


 ほとんど一方的なお喋りと自己紹介に少しばかりたじろぐ。
だけどそのちょっとした会話だけでも得られた情報はある。


「俺は.....羽角拓斗。今日からここ庄原市に住むことになった高校一年生だ。よ、よろしく」
「そうなんだ!じゃあ私と青人くんとタメ(・・)なんだね!」
「まぁ....そういうことになるな」
「なぁ拓斗。タメ(・・)ってなんじゃ?」



 青人は今枝葉が使った言葉に質問してくる。
そうか...こっちだとあまり使われない言葉なんだな。そう考える俺はもう完璧に都会の人間なんだなと実感する。まぁ、だからと言って田舎が嫌いというつもりは無い。むしろ大好きなほうだ。


「あぁ、タメ(・・)っていうのは簡単に言うと『同い年』みたいな意味かな。
「ふ〜ん」
「あ!そういえば今から青人くんと高校に案内してもらってるところなんだよ!拓斗くんも一緒に行こうよ!」


 言いながら枝葉は自転車の後ろに乗っかって「ほら行こうよ〜!」と一人勝手に盛り上がっている。
こんな元気な子が青人の彼女か......
 青人のことだからもう少しおとなしそうな女の子を彼女にすると思っていた。
そういえば.....
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