第1話 広島県
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なアレをしているのだ。
それは誤解されて、冷やかされて当たり前だろ......
それに.....まさか。
「居候の枝葉柚希でーす!!よろしくお願いしまーす!!」
「うわっ!いいよそんなこと言わんでも!!」
後ろの”枝葉”とそう名乗る少女は去りゆくおじさんに向けて挨拶をする。おじさんはおじさんで「おーう!!しくよろ−!!」と軽く手を振りながらトラクターを駆使して去っていった。
個人的にはおじさんがどうだとか、後ろの女の子がとても可愛いだとか、この二人はカップルだとかそんなことはどうでもいい。
俺は俺の方に向かってくる男に着目する。
まさか.....コイツ?
数々の思い出が、まるで走馬灯のように甦ってくる。
川で魚を捕ったこと、雪合戦をしたこと、相撲大会で無様に”女の子”にボコボコニされたこと。
喧嘩をしたこと、泣いたこと。
すべてが甦ったその中に、必ずと言っていいほどアイツがいた。アイツと一緒に遊んできた。
だから.........
「......は、青人...か?」
「え?お前......誰じゃ?」
予想はしてた通り、第一声はこういう答えだった。
予想してたが故に自分自身を忘れられているということに衝撃と悲しみを同時に受ける。
当然後ろの少女はポカンと俺たちのやり取りを見ている。
「.........拓斗」
「......たく、と?」
悔し紛れに小さな声で呟く。自分から名前は言いたくないけど本当にコイツは忘れているらしいから......
そう。昔からコイツはこういうヤツだったよ。
優しいのに...真面目で責任感が強いのに......興味ないことには全く関心を持たなくて、知らないところで人を傷付ける。
コイツが沢山の女の子からモテる理由が俺にはわからない。
知りたくもないけど、どういう手を使って女をたぶらかしているんだ?後ろの女の子もその一人だろうか......
しばらく青人は俺をじろじろと凝視したのち、
「ん〜......あれ?もしかして、拓斗って、あの拓斗!?」
「あぁ.....拓斗だよ、クソッたれ」
青人に聞こえない声量で愚痴る。
何も知らない青人は久しぶりの俺との再会を呑気に喜んでいるようだ。
────俺は、青人がどうも好きになれない。
そんな俺の気持ちも知らずに青人は「おい、一度降りてくれ」と後ろの少女を先に降ろしてから青人は俺の傍まで駆け寄ってくる。
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