第1話 広島県
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わる。
そう...すべてはアイツの一言から始まった.........
───第1話 桜───
───季節は四月のあたま
俺は広島県の片田舎のコンクリートで塗装されていない砂利道を歩いていた。
まるで俺の帰省を歓迎しているかのように道の両脇に咲いていた。
俺───羽角拓斗は一人分にしてはやや大きい旅行バックを右手にぶら下げて桜並木を眺めている。
ここ広島県は中国地方の県で、県庁所在地の広島市は中国・四国地方最大の都市であり、政令指定都市に指定されている。
一方で海・山の豊富な自然にも恵まれ、農業・漁業も盛んであり、意外とビッグでありながらも少し都会から離れると木々の広がる田舎へとなる。でも俺にとって広島の田舎は生まれ育った故郷で大切な友人のいる場所だ。
その広島の北東部に位置する庄原市は中国地方のほぼ位置し、東は岡山県、北は島根県・鳥取県に隣接する“県境のまち”として有名......らしい。
庄原市で有名な花と言えば、桜とブナ。
桜は庄原市の随所に植えられていてこの桜並木もその一つだ。ブナは庄原市を流れる西城川の水源でもある中国山地に形成し全国有数の天然記念物として愛されている。
桜並木を通り抜けて眼前に広がるのは田畑。所々烏除けに使われる案山子が妙に不気味さを感じさせる。
今の時期だと田圃に新しい作物を植えるための準備だろうか、ほとんど何もない。茶色で栄養分豊富な土壌が顔を出している。
「ここ、何にも変わってないや......」
俺がここに住んでいたのは小学四年生の時まで。当時仲の良かった俺を含めた四人組でいつも遊んでいた。当然遊ぶ場所なんて限られていて川、公園、森の中など自然と共に成長をしてきた。
両親の仕事の都合上愛知県まで引っ越し、後悔したことが一つだけあった。
それは後々語るとして...
そしてこの春高校生となる俺は、親を説得してわざわざ広島まで戻って来て高校生活を送るのだ。
鳥の囀り、木々が風に吹かれて揺れる音、都会では全然味わえない自然の空気を懐かしく思った俺は一人でニヤつく。
俺は都会の土では萎れ、郷土でやっと息を吹き返す、かの植物にも似た自分の宿命を観念した。
───やっぱり俺はこの土地が合ってるな。
少し変わっているところといえば、ところどころに新しい家がある、そんなところだ。
そして、景色が変わり始めたところで......ようやく俺の一人暮らしの家にたどり着く。
家の両隣も新築で、灰色の細長い洒脱な
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