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英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜(閃U篇)
第56話
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「アタシは遠慮しとくわ。二人でゆっくり浸かってきなさい。」
「ふふ、わかったわ。……それではリィンさん、行きましょうか。」
その後二人は足湯に向かい、それぞれの足を温泉に浸からせて休んでいた。
「はあ、いい気持ちですね……それに、やっぱりセリーヌの言ったとおりみたいです。」
「というと?」
「どうやらユミルの温泉には、
霊力
(
マナ
)
の回復を促進する効果があるみたいなんです。たぶん、霊脈が近いおかげで精霊の加護があるんだと思います。」
「へえ、そうだったのか。はは、ヴァリマールが入れるような風呂があればよかったな。」
エマの説明を聞いたリィンは冗談半分で言った。
「あはは、確かにそうですね。……あっ?」
するとその時エマの眼鏡が湯気によって曇った。
「えっと、委員長。眼鏡が曇ってるぞ?」
「は、外すのを忘れていました……!」
エマは慌てた様子で眼鏡を外した。
「ふう……」
「はは……そんなに慌てることはないと思うけど。でも委員長…………」
リィンは真剣な表情でジッとエマを見つめ
「リ、リィンさん?そんなにまじまじと見つめられると、その……」
リィンに見つめられたエマは頬を赤らめて恥ずかしそうに視線を逸らした。
「いや……前々からちょっと思ってたんだが。実はそんなに視力は悪くないんじゃないのか?」
「あはは……気付いていたんですね。はい、多少ぼやける程度で……魔女の術で補えばほとんど問題にならないくらいです。」
「そういえば、学院祭のステージでも掛けていなかったのに振り付けが完璧だったよな。でも、だったらどうして眼鏡をかけているんだ?」
眼鏡をかける意味があまりないエマの行動を不思議に思ったリィンはエマに尋ねた。
「この眼鏡は……私の”魔女”としてのあり方の象徴みたいなものなんです。『魔女とは歴史の影に潜み使命を全うすべき者……他者に自分の”素顔”を見せれば情に流され使命が揺らぐ危険もある。』……そんなふうに、小さい頃から
婆
(
ババ
)
様に教わっていましたから。」
「委員長の”おばあちゃん”か。なんていうか……思っていたよりも厳しい人みたいだな?」
「ふふ、仕方ないと思います。婆様は私達”魔女の眷属”の”
長
(
おさ
)
”にあたる大魔女……魔女の使命を正しく導く責任があるお方ですから。私もヴィータ姉さんも、魔女の修行を始めてからは随分厳しく躾けられましたね。」
昔を懐かしむかのようにエマは目を閉じて静かな笑みを浮かべた。
「そうなのか……」
「でも姉さんは禁を犯して故郷から出奔してしまって……婆様はそんな姉さんを捕まえて、罰を与えようとしているみたいで。……私はただ
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