暁 〜小説投稿サイト〜
ロザリオとバンパイア〜Another story〜
第54話 夢魔は嫌い?
[6/6]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
見ているような感じがしなかったけど彼は……、彼は………)」

 カイトの言葉には、それだけには思えなかったんだ。
『悪い子には見えない』と言った時、はっきりとそう感じた。

 くるむ自身は、別に容姿だけで寄ってきただけだったとしても、悪い気がする訳ではない。そもそも、魅惑眼(チャーム)を利用している時点でお門違いだとも思える。

 使い続ける理由は、そうやって数多くの男を魅惑し『運命の人』を見つけることが彼女の最終目的なのだから。だから、身も心も結ばれるのはその後で良かった。我武者羅に、最初は沢山沢山作るつもりだったのだ。その考えが、霧散してしまう気持ちだった。

「(っっ!! だ、だめっ! い、今は、赤夜萌香をやっつける事が重要! と、とりあえずっっ!! 今は、今はっっ!)」

 慌てて、精神を整えるくるむ。

 彼とはこのままで終わりたくはない。確かに術にはかかってないから、難しいと思える。でも、それでも くるむは、《カイトとはその後ゆっくりと付き合ってみたかった》

 もしかしたら、この人が『本当の(・・・)運命の人』なのかもしれなかったから。


「あ、ああっ、ごっ ごめんね!!? な、何かすっきり治っちゃったみたいだからもう良いよ!! あっ わたし、用事 思い出したからまた後でね!? カイトくんっっ!!」

 くるむは、そう言いうとほとんど同時に、まさに脱兎の如く勢いで、この場から姿を消したのだった。


 ぽつん―――、と残されたのはカイトだ。


「ん……? んんん。オレ、何か変なこと言ったかな? ……生前(まえ)も、そうだけど、あんまし女の子と付き合ったこと無いからよくわからん……。教えてくれなかったし…………」


 この場にいて、一部始終を目撃している人がいたとしたら、口を揃えていうだろう。


『超鈍感!!』


 と。最早それはスキルである事は間違いなく、《当然》なのである。

 それに、生憎ここには彼しかおらず、くるむもいない為、誰にも何もツッコミは受ける事は無かった。



 そして、その後 カイトも時間を確認して自分の教室へと戻っていくのだった。




[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ