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ロザリオとバンパイア〜Another story〜
第54話 夢魔は嫌い?
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見ているような感じがしなかったけど彼は……、彼は………)」
カイトの言葉には、それだけには思えなかったんだ。
『悪い子には見えない』と言った時、はっきりとそう感じた。
くるむ自身は、別に容姿だけで寄ってきただけだったとしても、悪い気がする訳ではない。そもそも、
魅惑眼
(
チャーム
)
を利用している時点でお門違いだとも思える。
使い続ける理由は、そうやって数多くの男を魅惑し『運命の人』を見つけることが彼女の最終目的なのだから。だから、身も心も結ばれるのはその後で良かった。我武者羅に、最初は沢山沢山作るつもりだったのだ。その考えが、霧散してしまう気持ちだった。
「(っっ!! だ、だめっ! い、今は、赤夜萌香をやっつける事が重要! と、とりあえずっっ!! 今は、今はっっ!)」
慌てて、精神を整えるくるむ。
彼とはこのままで終わりたくはない。確かに術にはかかってないから、難しいと思える。でも、それでも くるむは、《カイトとはその後ゆっくりと付き合ってみたかった》
もしかしたら、この人が『
本当の
(
・・・
)
運命の人』なのかもしれなかったから。
「あ、ああっ、ごっ ごめんね!!? な、何かすっきり治っちゃったみたいだからもう良いよ!! あっ わたし、用事 思い出したからまた後でね!? カイトくんっっ!!」
くるむは、そう言いうとほとんど同時に、まさに脱兎の如く勢いで、この場から姿を消したのだった。
ぽつん―――、と残されたのはカイトだ。
「ん……? んんん。オレ、何か変なこと言ったかな? ……
生前
(
まえ
)
も、そうだけど、あんまし女の子と付き合ったこと無いからよくわからん……。教えてくれなかったし…………」
この場にいて、一部始終を目撃している人がいたとしたら、口を揃えていうだろう。
『超鈍感!!』
と。最早それはスキルである事は間違いなく、《当然》なのである。
それに、生憎ここには彼しかおらず、くるむもいない為、誰にも何もツッコミは受ける事は無かった。
そして、その後 カイトも時間を確認して自分の教室へと戻っていくのだった。
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