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ロザリオとバンパイア〜Another story〜
第54話 夢魔は嫌い?
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、自然界から生まれた力、そこから様々な、多種多様な力に、まるで樹が成長を続け、枝を分け、広がっていく様に発展していった力。それらを、カイトは読む事ができるのだ。
だからこそ、その術を受けて、直様感知できた。
そして、それとほとんど同時に、目の前の少女が、いったい
誰
(
・
)
なのか、それも理解する事が出来た。
「(……
黒乃
(
くろの
)
、
胡夢
(
くるむ
)
……って、ああ。なる程。そう言う事、か。彼女もこの学園に入学をしていたんだったな。……ん。彼女の事も、忘れてなくて良かったかな)」
カイトは、くるむの
魅惑
(
チャーム
)
を受けながら、悠長にそんな風に考えていたのだった。
そして、更にもう1つの能力は彼に備わっている。幻術や洗脳の類は、一切受け付けない力。自分自身の自動魔法の1つ《
精神堅牢
(
レジスト・ヴィレ
)
》。
力が備わってから、それなりに彼も勉強を続けたのだ。沢山使える能力を得ても、その1つ1つを理解していないのであれば、宝の持ち腐れ、なのだから。
勿論、万能と言う訳ではなく、この防護魔法には、発動条件がある。
それは、術者の精神面が万全ないし、ある程度の余力があるときに限る、と言う事。自分自身を上回る力では無いと言う事、だ。
非常に便利な力だが、過信をしないように、と心がけたりもしている。
――――何が起きてもおかしくない世界にきているから
そして、当然だが 圧倒的に違和感を感じているのは、カイトよりも違和感を感じているのは、くるむの方だ。
「(え………、なんで? 私の
魅惑眼
(
チャーム
)
は完璧のハズなのに………? なんで、かからないの……?)」
違和感、と言うよりは、驚愕、と言った方が正しい。
そのくるむの正体は、先にもあったが、
夢魔
(
サキュバス
)
だ。
魅惑といった幻術を操る統べに長けた妖であり、その力には自信も持っている。これまでにも、くるむうは、何度か学園内の生徒に試し続け、学園内に限っては、百発百中の精度にまで向上していたのだ。
だが、この目の前の男は……、《御剣怪斗》という男は、
魅惑眼
(
チャーム
)
を受けても、考え事? をしているだけで、何もしてこない。
くるむが仕掛けたのは、『あまりの魅力に精神のコントロールが効かず、自分自身に思わず抱きついてしまう』と設定してる魅惑の術。なのに、カイトは一切動く気配が無かった。
始めは、頬を赤くさせて、慌てていたのにも関わらず、今はそういった気配も見えない。
「(……い、いったい、なぜ?? なにが……)」
そのくるむの表情を見たカイトは、直ぐに察した。
彼女にしてみれば、術をかけ続けているのに、全く反応がないのだから、当然といえばそうだろう。
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