第九話「無慈悲な真実」
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れを知る事になった。
余りのショックに思わず腰を抜かした。今目で見てしまった事を認めたくないと思った。
漸くリオンがなぜあれ程に覚悟しろと言ったのかわかった。
目を押さえた。一滴も涙は出なかった。悲しいとは思えなかった。
フェイトはただただ打ちひしがれていた。アルフも一言も発しなかった。フェイトにかける言葉を見つけられずにいた。
そこにはクローンの作り方とプレシアの娘...アリシアと言うらしい少女の写真があった。プレシアの傍らでアリシアは笑っていた。
笑っていた少女は姿形こそフェイトと瓜二つだったが、でも確かにフェイトではなかった。必死に思い出そうとしたがフェイトはその写真が何処で撮られたか思い出す事ができなかった。
雷に打ちひしがれた様なと言うような表現がある。今の彼女にピッタリだった。今まで倒してきたジュエルシードの暴走体なんかも同じ様に感じたのだろうか。
胸に手を当てた。一定のリズムで鼓動していた。その事がなぜかとても悔しくなった。
近くには鏡があった。鏡には人間の仮面を被っていた『なにか』が写っていた。フェイトにはその『なにか』がとても醜く見えた。バルディッシュを振り上げた。こんな人でなしは死んでしまえ、と。
鏡が割れる音だけが妙に響いた。
立っていることなど、もう彼女にはできなかった。この世界が急速に白黒に染まっていく気がした...
その時、パサリという音がした。読んでいた資料からなにか白い紙が落ちた。
白黒の世界でそれを拾い上げると、白い筈のその紙が金色に輝いた。
それは手紙だった。
『名も無い少女へ
なんと呼べばいいのかまだ僕にはわからないので「お前」と書かせてもらおうと思う。
先に謝っておこう、すまない。僕は当事者であるお前よりも先にこの事実を知ってしまった。そして知ってしまった以上は自己満足かもしれないがお前に知らせない訳にはいかない、そう思った。だからこそバルディッシュに伝言を授けてお前が知るように仕向けた。
その写真の右下にも書いてあるがアリシア、そういうらしい。あの女の娘は。いや、「だった」と言うべきかも知れないな。プレシアの娘はもうこの世にいないのだから。わかっているとは思うがプレシアがお前にジュエルシードを集めさせていたのはアリシアを蘇生させる為だ。さしずめお前はその代わりののお人形と言った所か、寂しさを紛らわせるための。
だが人形はいつか捨てられるものだ。お前とて例外ではあるまい。
さて、ここからが本題だ。他でもない、お前の名前についてだ。お前は自らの業に、あの名前が示す「運命」に立ち向かう覚悟はあるか?
「フェイト」になる気はあるか?それともこの手紙も資料も見なかった事にしてここで終わるか?決めるのはお前だ。
もしもお前の名前が「フェイト」だと言うのなら、その名前
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