第九話「無慈悲な真実」
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表情を硬くさせた。
「二つ目ですが...これは海上決戦の前日に追加された事なんですが『お前は真実を知りたいと思うか?』と言っていました。」
フェイトは訝った。いきなり真実などと言われてもピンと来る物ではない。アルフも首をかしげていた。
「真実?アイツの過去とか...いやそりゃないか。そんな事を知ったってアタシらには何の役にも立たないし。」
「私も彼の言う『真実』について詳しく存じているわけじゃありません。ただ、これを渡されました。」
そう言ってバルディッシュは二枚の紙を取り出した。内一枚はフェイトにも見覚えがあった。時の庭園の見取り図だ。確か彼が傭兵としてフェイトたちと一緒に戦うと決まった日にプレシアがリオンに渡していた記憶があった。そしてもう片方は
「これは...時間と日付?」
それが表のように無機質に連続されて記されていた。その端に『この時間帯に時の庭園へ行け』と書いてあった。それを見ているとアルフが横から口を挟んだ。
「あれ...フェイト、ちょっとその見取り図の方見せてくれないかい?」
「え...うん、いいよ。」
そう言ってアルフは険しい顔でそれを見つめた。数秒後、ハッとした顔になって自分の懐から彼女がプレシアから受け取った見取り図を広げて見比べた。
「フェイト、これ...!」
「アレ...?ちょっと違ってる?」
その見取り図にはアルフが渡された物には描いていない道と部屋が幾つか書いてあった。リオンが追加したであろう部屋の一つに赤い×が記されていた、その隣には『書庫』と小さく書かれていた。さらに右下を見るとリオンの文字で『まず最初に書庫に行くといい。そこの入口に入って右から数えて11番目の本棚の8段目を良く見ろ。ただし覚悟をしっかり決めてから行くことだ。真実を知る覚悟を...どんな事があっても動じるな。』
「覚悟ってまた随分と仰々しいねえ...」
不気味そうにリオンの文字を眺めた。
「どうする?フェイト。」
腕を組んでフェイトに聞いた。
「真実。」
フェイトは呟いてみた。彼女にはその重さがどんな物なのかわからなかった。
ただ彼女はリオンとした約束は破ってしまった以上彼の言う事は聞いたほうがいいと思った。
「アルフ、私行くよ。」
「そうかい...このメモの通りに行くなら最速で二日後だね。ちょうど今の時間位だよ。」
壁にかけられた時計を指差しながらアルフは言った。
「二日後...うん。」
それだけあれば準備もできる。リオンの言う事が完全に理解できた訳じゃなかったが彼がここまで言うのだ。警戒する事に越した事はないと考えた。
ただフェイトには一つ不安な事があった。
「母さん...この位は許してくれるかな?」
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