第九話「無慈悲な真実」
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わず叫んでしまった。
アルフの印象はなんら間違っていない。事実それがバルディッシュの本質だ。リオンとシャルティエのように二人で戦うのではなく、フェイトに戦うのは任せるが彼女が戦う最高の環境を作るというのが彼の信条だった。別に自分がただの道具だからと言う風な悲観的な感情から来るものではなく本心からそういう物だと思っているのだ。故に彼はフェイトの相棒と言うよりも忠臣だった。
だがそんな彼が語気を荒めたのは、それだけフェイトの態度が気に入らなかったからに違いない。間違いなく彼はこの主に初めて怒っていた。
「一日や二日塞ぎこむのは...まああれだけの事があったので私も目を瞑りましょう。
ですがそれが何時までも、となる到底承服できません。きっとリオンさんもこう言うでしょう。いや彼の場合もっと言い方がきついかもしれませんね。
そういう人の言葉を聴くのですから彼がこの場にいない今でも彼の望む態度で聞く事が必要なんだと思います。...少なくとも彼とした言葉の勉強に使った本には人と話すのに必要なものは言葉ではなく心構えなのだと書いてありました。」
「バルディッシュ...」
そうつぶやいた後立ち上がった。その時フェイトは思わず顔をしかめた。何せ三日三晩同じ体勢でいたのだ。手も足もしびれる。まだ感覚の薄い両手でパンパンと頬を叩いて眼を擦った。
「それで良いんですよ、サー。」
バルディッシュは子供を褒めるような声でそう言った。
「うん、ごめんねバルディッシュ。アルフにも心配かけたね。」
「い、良いんだよアタシは。それよりも早速聞こうじゃないかい。アイツの残した伝言を。」
どこかホッとしたような顔でそう言って、ソファーに腰をおろした。
「それでバルディッシュ、伝言って?」
バルディッシュは語った。曰くこの伝言はもし自分が管理局に何らかのミスで捕まるような事があればフェイトに伝えるようにと言われたらしい。
そして伝言は二つあった。
「まず一つ目ですが...『お前達は高慢にも僕のことを心配しているかもしれないが...心配をしたいならせめて僕からマトモな一本を奪えてからにしろ。』と。」
「あっ...」
「あはは...そりゃ確かに言うとおりだね。」
フェイトはまるで幽霊でも見せられたかのようにそんな風に声を漏らした。フェイトはマトモと言うのを抜きにしてもまだバルディッシュをリオンに掠らせた事すらなかった。確かにそれだけの実力差があるのに心配するのも変な話だが、べつに今それを思い出した訳じゃなかった。ただ伝言とは言え彼がそう言ったことはフェイトの気持ちを楽にはさせた。楽にした心で改めて考えてみれば管理局がリオンを手荒には扱えない事にも気付いた。
だが次の伝言には
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