第五章
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牙《トレス・エスパニア》から報告があった』
それは――。
ホライゾンの身体に封じられた大罪武装の名は焦がれの全域。
嫉妬《フトーノス》を司る大罪武装のその効果は、大罪武装全てを統括制御するモノ。
つまり、大罪武装を全て集め、一つの武装とする統御OSがホライゾンに封じられた大罪武装の正体だった。
『――大罪にはそれぞれ神代の魔神が対応すると言われているが、それによれば、嫉妬《フトーノス》を司るのは全竜だ。全ての獣の様相を持つ大竜。自分に力はなく、全てを嫉妬し、しかしそれら全ての力を集う事ができる。――三河君主の元信は言ったな? 大罪武装を手に入れれば末世を左右できると』
そう、確かにそういった。だからこそ、聖連の言い分。
集めた大罪武装を統御できる能力を娘に与えた事が、極東の世界支配への反乱と言う推測は正しいのだろう。
そして、ホライゾンを救えば、必ず全面戦争だ。
大罪武装は各国に保有されている。だから、大罪武装を集めていくと言う事は、各国と何らかの交渉か、戦闘が発生するだろう。
損得を考えれば、ホライゾンを救わない方が遥かに得なのだろう。
そう考えている内に相手は勝手に話を終えようとする。
『本多・正純――。歴史再現の誤差を認めろとお前がいうのは、やはり、あれか? 自分と父親が襲名に失敗し、それを解釈で救われなかったからか?』
私は反射的に自分の身体を、胸を抱いた。
周りをみれば、集まった人々がこちらを見上げている。
今の教皇総長の言葉の意味を確かめようとする目で、私の方を見ている。
猜疑、と言う視線が集まり、私の背に冷たい汗を感じる。
「そうだよなぁ。だとしたら、理由がろくに無くても、襲名失敗者のお前は俺のような襲名者のお堅い動きには逆らいたくなるよなぁ。何しろお前――』
待て、こちらを勝手に決めつけてくるな。
……私は、政治家志望で……単なる反抗心でこの場に立っているわけではない。
それに、やめろ。
『――襲名しようとして、男性化の手術を受けつつも、途中で襲名がかなわなくなって、胸とか削ったまま。身体は不完全に女のままで、でも襲名を引きずっていて男の格好――』
言われた。
襲名失敗と私の隠し事を言われた。
そして、
『――嘘ばかりのお前はそれがバレぬことをよしとし、ただ人を動かすことに酔い、襲名の権威に逆らいたいだけなのではないか?』
やられた。教皇総長の言葉によって、今までの周囲の視線が変えられた。
私に対する人々の見方を根本からやられた。
私が女性で、男性化手術を受けた事を一部の人間は知っている。
ただ、ここに集まっている人間の大部分
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