第五章
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」
●
「ちょっと、待てよ」
葵・トーリが私に待てをかけてきた。
……力を抜くのにも気を使わなければ。通神《つうしん》を見ている相手に通じるように。
階段の中央あたりにいる放送委員の撮影隊に向けて、その先に見ている人物に意図が通るよう動かねば。
「何だ?」
「いや、いい空気吸ってんのは解るんだけどよ。ホライゾンが責任をとるどころじゃなくて、誰も責任を取る必要がないとしたら、三河消失の責任はどこに行くんだ?」
「教えてやろう……」
私の味方である葵・ユーキは同じ事を考えていることだろう。
「三河は君主を失い大部分の土地を失った。ここから先は復興が必要だが、人々は都市側のインフラがなければ生きていけない。今も武蔵のインフラを使用して、仮設居住区画を搭載した船での生活をしようとしているわけだ。だったら、どうすべきかというと……」
「なかった事にすれば良いってことだろう」
葵・ユーキは理解している。
「そう、三河をこのまま航空都市艦として認定し、武蔵と連結することで存続すればいい。つまり、三河は消失していない。誰も責任を取る必要は無い」
私には、絶対の味方がおり、同時に理解者がいる。
……心地の良い感覚だ。
「三河はTsirhc《ツアーク》とムラサイの間にある中立都市として重要だった。だが、それは別に移動中の武蔵でも担当出来ることだ。だから、三河を武蔵と連結して存続させれば武蔵の移譲無しに、三河消失の損失を取り戻すことが可能だ」
私の発言に、人々が徐々に理解を得て、声が重なりそれは歓声となる。
歓声に負けぬよう、叫ぶ。
「武蔵アリアダスト教導院は、ホライゾン・アリアダストに対する聖連の対応について、今の意見を大義名分の対案とし見直しを要求する!」
大きく息を吸って、叫ぶ。
「正義は以下の通りだ。今の聖連の行いは、聖譜《テスタメント》の示す歴史再現を悪用する行為である。それは聖譜を軽んじるものだ!」
その直後、正純の呼び出したい相手が来た。
『詭弁だな』
「教皇総長……」
すると、私の耳元で葵・ユーキが耳打ちしてきた。
「これからが本番だな。ホライゾンの自害を歴史の秩序として進めてきた奴だ。奴の言う秩序を覆さなきゃいけないが、大丈夫か?」
「全く、どこまで先を読んでいたんだか……。だが、私が必ず己の役目としてホライゾンへの道をつけてやるさ」
「そりゃ有難いが、ホライゾンの自害は歴史に存在しないけど、歴史的に見ると引責自害は妥当だぜ?」
「お前、どっちの味方だよ……」
「始めから正純の味方だって言ってるだろうが」
そういえば、そうだった。
『空論だなあ、おい。そこの副会長。今、自分達ならばどうするか、と
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