第五章
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は、俺知らねーけど。でも嫌いな、どうでもいい奴相手に、仕事途中の馬車は停めねぇよ。少なくとも切れてはねぇ。娘の将来旦那に切れてるかもしれねーけど。まあ実際そういううぜぇオヤジの時点でダメで、煩わしいかもだけど。その分、子供産んだらちゃんとしてやりゃいいじゃん」
言われ、熱くなる。
……くそ。父がどう思っているかはわからない。もしかしたら、私の婚姻にも興味が無いかもしれないけど。
完全に話の流れからして、ユーキが私に全国放送で婚約宣言したようなもんだぞ……!
●
「アッレ? アッレェエエ?」
「ノブたん! 落ち着いて! 聞こえるから!」
「コニたん! 落ち着いていられるか! 臨時生徒総会がいつの間にか婚約宣言だぞ!」
●
「ば、馬鹿っ。誰が誰との子供とか、そんなこと今、大体、結婚なんて――」
早過ぎる。と言いかけて止めた。
言ったら、婚約宣言を受け止める事になるだろうし、ユーキのリップサービスの可能性もあるし。
ああ、言い訳だ……!
要は、恥ずかしいから私自身に言い訳している。
ユーキは、堂々としているけど、どういうつもりだ。
ブラフ、ではないだろう。今朝のこともあるし。
じゃあ、本気か?
いや、それよりも今は――。
『話を逸らさず行こうか、なあ? おい、本多・正純。既に話し合いとしては、双方の損得において決着がついていると思うが』
――そう、交渉はまだ続いている。
……私が不利な状況は変わっていない。
『本多・正純。一つ、俺を楽しませた分の提案をしよう。この件を撤回するならば、その正確な判断を認め、お前の襲名を認めよう』
それは、と思う。右舷側の父がいる辺りはやたらうるさいが。父はどのような顔をしているだろうか。
教皇総長は言う。
私を聖連と極東との交渉役にしようと言う提案だ。
最後の揺らしだ。
武蔵と極東の人々と、私に取って得になる。
だが――。
「ああ? なあーーに言ってんあオマエ!」
馬鹿が、堂々と、空の表示枠を指さした。
そう、馬鹿が動き始めたのだ。
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