第五章
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うにしていた両手が下がろうとした時に、不意に正純の肩に衝撃が来た。
「正純、あるんだろ? この件の対策。大義名分がさ」
ポンッと肩を叩かれて、ハッと意識が戻る。
……確かにある。暫定議会の秘書達から聞いた情報や、自分の判断を元に己で考えた対策が書いてあるメモがある。
ホライゾンを救うための大義名分や、正義を得るための方法、更にはそれを得た後の武蔵や自分達がどうすべきかの先の対策なども全て書きまとめてある。
しかし、何もかも自分で考えた自分の言葉である。
……未熟な私にそれが言えるのだろうか。
襲名ができず、政治家とは何かを疑問し、女であることも半ば隠している……不備と疑問と偽物のような自分の意見が。
それに、これが通用すると何の確証がある?
父は間違いなく、こちらの思いを見透かしているのだ。
「お前が言わなくてどうするよ? 俺は――正純の答えが聞きたいんだよ」
「兄ちゃん、セージュンが答え持ってんなら俺も聞きてぇな!」
「……お前等」
片方は馬鹿で、片方は――。
もしかしたら、答えを持っているかもしれないヤツだ。
「俺は頭が悪くて何もできなくて、答えがだせねぇ。他の連中もそうだ。守銭奴は金の勘定しか出来ねぇ。眼鏡作家は歴史とかの話しか出来ねぇ。――政治の話は兄ちゃんよりも、お前が話せる」
それはどうだろうか。
葵・ユーキは優秀だと思う。
……変に真面目だが、時にバカになるヤツだ。
「正純がここで、答えを言わないとどうしよもねぇよ。正純は俺達の、副会長なんだからさ」
葵・ユーキが私の両肩に手を置いて正面、顔を向き合わせるようにされて――。
「トーリ達が何言っても結局は権限無しの戯言だ。俺達の中で唯一権限を持ってるのが正純だ。だから、俺達の代表として、お前の答えを聞かせてやれよ。大丈夫、何があっても俺は正純を支持する。俺はお前の絶対の味方だ」
――言われた。
……絶対の味方、か。
不意に、意志の言葉が来た。
それは、アデーレが桶に入れて持ってきた黒藻の獣だった。
「な、何ですか? 告白シーンのようですけど、違いますよね? ね?」
……とりあえず、勘違いだ。
ともあれ、黒藻の獣にまで助けを求められた。
ホライゾンを救って欲しいと。
そして、私は……。
私の意志はもう、そちらに向いたのだ。
「私、武蔵アリアダスト教導院副会長、本多・正純が答えよう」
●
葵・ユーキが正純の正面から立ち退く。
……俺の仕事は終わったかな。
正純は良い顔になった気がする。
「――要は、ホライゾンを救うことに聖連も共有出来る正当性を与えることで、彼女の救出によって発生するであろう戦争や、居留地に対する被
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