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もう一人の八神
新暦76年
memory:09 クリスマス
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びくしながら同調する。
それを見たライはニヤニヤと笑みを浮かべて一歩、また一歩と近付いた。
するとミウラ慌てて私の背中に隠れた。

「ふむ、どうやらミウラっちゃんは悠を盾にするんだな」

「ええぇっ!? ち、違いますよ! ボクそんなつもりじゃ…っ」

……別に気にしなくていいのに。
あっ、でもこんな風におどおどするミウラって何かいいかも。

「まあいい。ミウラっちゃんに売られた悠よ、食らうがいい!」

プシュ。
そんな音と共にコルクが飛んできた。

「ハァ…遅いよ」

右手に軽く魔力を纏わせてデコピンの要領で中指でコルクを弾く。

「いってぇええぇっ!?」

「当たり前だ、魔力付加だからな。それに言っただろ? 危ないって」

変に鈍い音が鳴り響くと、ライは眉間を押さえながらのたうちまわった。
周りは爆笑やら苦笑やらと色々で同情はなかった。



みんなとワイワイ話しながら楽しんでいるとライの持ってきたボトルの飲み物に目が留まった。

「ライ、お前が持ってきたジンジャーなんだけど……」

「どうしたの?」

「いや、ラベルに超激辛テリブルジンジャーって」

「テリブル?」

「炭酸が口の中でバルスするぜ。二人もどうだ?」

「おれパス。何か嫌な予感がする」

「私も遠慮しとく」

ライはつまらなそうな顔をしながら氷の入った自分のコップにテリブルジンジャーを注いだ。
そしてカランコロンとコップを回した。

「美味しいのにこれを飲まないとはなんという奴らだ」

「ところでそれってどんな味なの?」

「フッ、坊やには早い背中で語る男の味だぜ」

いや、全然わからないし……。
要はあれか? 背中の味か?

ライがよくわからないジンジャーを飲もうと手に持つと鼻がぴくついた。

「へ…へっくしょん!!」

「「あ」」

くしゃみで勢いよく顔と手が互いに接近した。
何も持っていない手ならばよかったのだろうが残念ながらそうではなかった。

「目がああああ! 目がああああああ!!」

「何というがいつも通りだね。それにしても背中の味が眼球に……」

「背中の味って何なの!?」

「二人ともそんなこと言ってないで心配が先だよ!?」

おっと、いつも通りの光景だからついつい。

「それもそうだね。シャマルー、ライの目診てやってー。背中の味の激辛でテリブルなジンジャーでバルスしてるだろうから」

慌ててきたシャマルによって診断が下された。
異常なし。
シャマル曰く、失明はないにしても普通なら腫れるそうなのだが、そんな症状は全くなく数分後には完全に痛みが引いたらしい。
うん、さすがはギャグ補正持ちだな。



楽しい時
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