第三部
名誉と誇り
にじゅうに
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くあり、種類も豊富だ。
今回用いられたものは、炭素系生命体に効力がある溶解液で、ほとんど人体にのみ影響を与えていることから察すると、かなり濃度を薄めて製作されたと考えられた。
ということは、恐らく“人間自害用”として作成し、持たされていた可能性が非常に高い。
そうすると、何故そんなことが必要なのか、そもそも待たせたのは誰なのかと、疑問に思うことが増えていく一方であった。
私は空になった瓶に蓋をし、応急処置キットの中へと放り込む。
地面が若干溶解しているのを確認し、無駄だと思いつつもそれをプラズマキャスターを放って地面を抉り、カモフラージュする。
次に私が撲殺してしまった騎士の死体へと歩みより、左手で首元の鎧を掴んで引きずりながら移動し、同じように気を失っている騎士を右手でもって掴んで引きずる。
「あ、あの……、何を」
そこで私はエリステインがこの場にいることを思い出し、さてどうしたものかと、視線を彼女に固定する。
正直、これから行うことは気持ちの良いものではない。彼女の今後の身の振りを考えれば必要なことではあるが、真面目で少々潔癖のきらいがある彼女は間違いなく難色を示す。
そこで自然に、彼女の身の安全を勘定にいれている自分自身に気付き、ヘルメットの中で苦笑いをする。
こうなることが分かっていたからこそ、いまのいままでヒューマン型の、特に地球人と似かよった容姿の生命体には近付かないように心がけていたのだが……。
しかし、今さら言ったところでもう過去に戻ることはできない。
流石にもう、総隊長と呼ばれた男が持っていた物が何なのか理解し、同族の影が見え隠れしている今、うかうかしていることもできなくなってしまった。
居心地悪げにこちらを見つめ返す、何故だか信用しきっている瞳に呆れ半分と、残りはよく分からない想いがない交ぜになった感情半分を持って、私は両手に持ったモノを地面へと落とす。
「貴様はこれからどうするつもりだ」
「どう、とは?」
「ヤツが言っていたことを聞いていただろう」
そう言って、地面が抉れて土が剥き出しになっている何もない場所を顎で指す。
「何があるかは私には分からないが、恐らく貴様にとって王都とやらに戻っても良いことはないだろう」
それは理解できるだろ?という風に私は彼女を見つめ返す。その無言の問いかけに、彼女の瞳が揺れるのが分かったが、私はそれを無視する。
「……恐らく、ヤツが最後に自ら命を絶った物、あれは私と同じ種族が渡したものだ」
「っ!」
「貴様らのテリトリーで何かが起ころうとしていることは、私にも分かる。そこに私と同じ種族の者が関わっているだろうことも、今回のことで分かった」
しかし、その目的が分からない
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