新暦76年
memory:07 どっちが強いの?
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危なかったさ。アステルで軌道をずらして回避してってな」
「その割には余裕そうに見えるが?」
「そういうライこそニヤついてる」
楽しそうに話す二人。
それぞれの顔にはいつもよりも楽しそうな笑みが浮かんでいる。
そんな二人を見るミウラたちはいまだ動かない様子に戸惑っていた。
「二人ともどうして動かないんだろう……?」
全員の疑問を代弁するかのようにミウラがつぶやく。
「ただ腹を探りあってる」
「それっていったい……」
「ム、そろそろか」
「え? なにがですか?」
「二人が動き出すぞ」
ミウラが試合に視線を戻した瞬間、再び蒼い流星がライ目掛けて飛翔する。
「アステルシューター!」
「へっ! そんな直球なんざもう当たらねぇよ」
軌道を正確に読み、徐々に距離を詰めていく。
右肩、左脇、左腕、腹部。
ものすごいスピードで体術や魔法を駆使して弾き、避わし、相殺し。
「もらったぁ!!」
一気に悠莉の懐に入り、腹部に両の手を突きつける。
「なッ……!?」
その場を離れようとする悠莉だったが紅い縄に固定された。
春光拳式のバインド、炎光縄。
悠莉を逃がさないと肢体に絡み付く。
「くらえッ!!」
ライの両の掌が押し付けられると悠莉はぶっ飛んだ。
虎砲。
春光拳の技の一つで、足で練り上げた力を手へとそのまま移してぶつける。
「悠莉くん(兄ちゃん)!?」
観客席が騒がしくなる。
完全に極った一撃。
それを見てライが勝って終わった。
そう思った子供たちが二人に駆け寄ろうとする。
「お前たち、まだ終わってないぞ」
「えっ…でも……」
「ホレ、よく見てみろ」
ザフィーラとヴィータのハッとして振り向く。
「うそ……なんで!?」
「どうしてライ兄ちゃんのポイントが減ってるの!?」
ライの両腕のバリアジャケットが焼き焦げていた。
「ユーリのアステルシューターだ。あれの爆発風でライにダメージを与えつつ直撃を防いだ」
「アステルシューターって直進型の魔力弾だったんじゃなかったんですか?」
「いいや。あれ本来の形は爆撃弾。しかもユーリのコントロール付きのな」
「誘導型爆撃弾……」
その言葉に唖然とする。
唖然としているのは子供たちだけではなかった。
「マジかよ……。完全に極ったと思ったのによ……」
ライは冷や汗を流しながら、両腕を見る。
ライ自身渾身の一撃を放った。
一撃で決めるつもりだった。
しかしどうだろう、戻ってくる悠莉のポイントを確かめれば、削られたのはたった半分。
そのうえ自分はダメージを受けてしまった。
「―――やっ
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