新暦76年
memory:06 道場での出会い
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e end-
-side other-
少女はずっと見ていた。
海岸で楽しそうに格闘技の練習をしている同年代の子達の姿を。
「はぁ……」
ため息が一つこぼれる。
本当はあの子たちに混じって一緒に練習をしたいのにそれができない。
自身の引っ込み思案な性格が邪魔をして声をかけることができずに何日も経つ。
今日もただ遠くか見るだけ。
ただ時間が過ぎていくだけ。
そう思っていた少女はため息を一つ吐いて家に帰ろうかと考え始めた。
だけどその日は違った。
「こんにちは!」
―――ドキッ!
少女が驚きながら振り向くとそこには二人の女性がいた。
「格闘技に興味があるん?」
「あれ、うちの道場なのよ。って言っても近所の子に教えてるだけなんだけどね」
「え…? あ、あの……」
「良かったらもっと近くで見てみるかー?」
「い、いいんですか?」
「もちろん♪」
茶髪の女性が手を差し伸べた。
少女はその手をおずおずと握ると二人の女性は笑みを向けた。
「あ、そういえば自己紹介がまだやったな〜。私は八神はやてです」
「私はシャマルって言います。よろしくね」
「え、えっと、ボクは…ミウラ・リナルディ、です 」
「そんじゃミウラ、みんなのところに行こか」
「お、お願いします……っ!」
少女、ミウラは緊張しながらもはやてに手を引かれながら前へと進んだ。
-side end-
-side 悠莉-
組手をザフィーラと交代して、型のチェックを見ていると姉さんに呼ばれた。
姉さんの隣には先程の女の子がいた。
「どしたの?」
「実はな、ミウラにミット打ち体験させてやってほしんよ」
姉さんの隣にいる女の子に目を向けるとビクッとした後、小さな声で
「ミウラ・リナルディ、です」
「ミウラね。私は八神悠莉、よろしく」
「八神? それじゃあもしかして……」
「そうや。私と悠莉は姉弟なんよ。って、それはともかくミウラもやってみたいんやろ?」
姉さんがミウラにミット撃ちを促してみるけど卑屈になったように返した。
「だ、だけど本当にいいんでしょうか……」
「何がや?」
ミウラの言葉に私と姉さんは顔を見合わせ首を傾げる。
「だ、だってボクは本当に不器用で人見知りで口下手でドジでおっちょこちょいで何をやってもダメな子だから……」
声は尻すぼみに小さくなっていき、最終的には顔を俯かせてしまった。
それを見て姉さんは少し困った顔になる。
私は小さくため息をついたあと、ミウラの目の前に立った。
「……てい!」
「ひゃう!? ひゃにひゅるんれふは(何するんですか)」
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