第2章 妹達編
第33話 看病
[5/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
れたようだ。
板状に並んで出されているブリスターパックから薬を押し出していく白井。
「良薬は口苦しですわよ。さっさと口を開けなさいですわー」
薬を手に持った白井がコップを手に取ってジワジワとベッドで横になっているサソリに近づく。
サソリはプイっと枕に顔を埋める。
絶対に薬なんか飲んでやらないぞとの強固な意志表示だ。
「全く手間が掛かりますわね......ほいさ」
白井がテレポート能力でサソリの口の中に薬を移動させた。
「!!?うっ!?」
サソリが慌て起き上がり、吐き出そうとするが白井がスポーツ飲料の入ったコップをサソリの口に押し込んだ。
ゴクンと飲み込めたらしいが、サソリは頭をテーブルに付けて項垂れている。
「ゲホ、ゲホ。お前な、時空間でオレの胃の中に入れれば良いだろ......わざわざ口に入れなくても」
「あら、そう単純ではありませんわ。内臓は独特の動きをしますから。一歩間違えると心臓の中に薬が入ってしまうかもですわよ。それでも良いなら......」
「分かった分かった」
笑顔でエグい事を言ってくる白井にサソリは若干寒気を感じた。
「とりあえず果物を買ってきましたから、食べますわよ」
スーパーで買ってきたミカンを出すと皮を剥いて、サソリに一つずつ渡した。
「体調が悪い時はビタミン摂取ですわ」
サソリは、指でミカンの果肉を確認するとゆっくりと口に入れた。
「......酸っぱいな」
「貴方、文句しか出てきませんわね」
白井もパイプ椅子に座ってミカンを食べ始める。
しかし、白井の頭の中を占めるのはサソリと湾内の事だ。
一週間前に起きた暴行事件の際に目撃してしまった光景。
湾内がサソリの頬にキスをするという非常事態に心を掻き乱される。
サソリを独占したい
サソリに甘えたいなどの欲求が噴出するが、寸前のところを行ったり来たりの繰り返しだ。
「わ、湾内さんはどうするおつもりですの?」
この質問にも勇気がいる。
もしも、サソリ自身に明確な肯定があれば、もう諦めるしかない。
「湾内?ああ、あいつか......正直言うとオレも困っているんだが」
「湾内さんは付き合いたいと言ってますわよ」
「はっきり断ったんだがな......何でオレなんかと」
横になりながら、少しだけ目を細めた。
ガキの頃に親を喪って、その先はひたすらに傀儡の世界に没入して行った。
そのため、サソリ自身には女性と付き合った経験がなく、どう扱って良いのか困り顔だ。
「白井......オレはどうすれば良い?」
「えっ!?もしかして、今まで女性とお付き合いしたことがありませんの?」
白井はサソリの予想外の問いに持っていたミカンを落とした。
「ねーよ」
空いた口をパクパクと動かしながら、しば
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ