第2章 妹達編
第33話 看病
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れて行く。
「ありがとう」
些細な
本当に病気が治ってくれるならば
あたしの能力で人助けが出来るならと思っていた。
生物で習う言葉や専門用語の深い意味なんて知らない。
ただ、苦しんでいる人を助けたかっただけ。
だけど、それは違っていた
この善意が過ちの始まりだった。
酷く凄惨な実験の開幕だったことに
あたしは見抜けなかった
苦しまなくて良かった者達を生み出してしまうことになるなんて......
******
病室で横になっているサソリは、気が抜けたようにボーっとしていた。
ピピピッと看護師が熱を測ると体温は37.5度を指していた。
「昨日よりは下がったけど微熱ね。疲れが一気に出たのよ」
入院してから一週間。サソリは風邪を引いたようで熱っぽい顔で頭を掻いた。
人間の身体になり、久しぶりの病気にサソリはなんとも心地悪そうに布団で横になる。
「抜け出そうなんて考えないのよ!」
念を押すようにビシッと指を差す。
「ケホケホ......しねえよ。怠いし」
微熱であるが、人間らしい節々の痛みに気持ち悪さが浮き上がる。
レベルアッパー事件からぶっ通しで闘い続けた身体に、とうとう限界が来たらしく顔を真っ赤にしながら布団を頭から被って拗ねたように横向きになった。
「......こんなにチャクラは練れんもんか」
左腕の骨折の痛みは治まり、腫れも引いてきた矢先に風邪で倒れるとは情けない。
横を向いて力なくため息を吐いた。
「じゅあ、朝の分の薬を置くからしっかり飲んで休むのよ」
カートの薬箱から風邪薬を三錠取り出してテーブルに並べた。
「......ケホ」
サソリは、一回だけ咳をするが無視をするように黙っている。
「返事は?!」
「へいへい」
「全く!じゃあ、あとは宜しくね。薬は殴ってでも良いから飲ませるのよ」
サソリのカルテを入力すると、パソコンを閉じて、コード類やサソリの様子と薬を再度確認すると、側にいた赤いツインテールをした常盤台の少女に言って、扉から出て行った。
「お世話になりますわ」
いち早くサソリの見舞いに駆けつけていた白井が出て行く看護師に一礼をした。
「ゲホゲホ......あー、調子悪いな」
やっと居なくなった鬼に清々しながら、サソリは首を回した。
喉に炎症があるらしく、咳を何度かしている。
「大丈夫ですの?」
白井がお見舞いで買ってきたスポーツ飲料水を紙コップに注ぎながら、サソリを心配そうに覗いた。
「寝てりゃ治る」
「寝る前にお薬ですわよ。さあ、起きてくださいな」
「いらねぇよ薬なんか......毒かもしれねーだろ」
「では、本音は?」
「......苦いからヤダ」
子供か!?
鋭敏になった味覚の弊害がここに現
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