第2章 妹達編
第33話 看病
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る光の先へと消えて行った。
路地裏にしばし沈黙が訪れた。
先へ進もうと手を動かそうとした瞬間に
背後から女性の声が聞こえた。
「あれ?皆さんここに居たのですか?探してしまいました」
振り返ると先程用事があると言って足早に行ってしまったフウエイがカートを押していた。
見物人を見つけるとフウエイは嬉しそうに笑顔を見せるとカートを止めて、中身を出して準備を始めた。
赤い髪の少年の人形、電気を出しているような茶髪の少女の人形など出演者をステージに並べていく。
「今日から第2章ですからね。気合いを入れて前口上をしようかと......貴方は、自分そっくりの人に会ったら......はい?もう知っている?......誰から教えて貰ったんですか?......私ですか?おかしいですね、ここに来たのは初めてですよ」
用意をしていた赤い髪の少年の人形を手に持つと怯えたように口元に持ってきた。
「も、もしかして私のドッペルゲンガーに会ったんですか?会うと不吉な事が起きるのですよ」
ガクガクと恐怖で震えているフウエイ。
赤い髪の人形を頼っているようだ。
すると、フウエイは人形の脇から眼をこちらに向けて言った。
ところで、モニターを見ている貴方の後ろで立っている人って誰ですか?
第2章 妹達編 始
遠い昔の話だ。
自分がまだ小さい頃のこと。
うろ覚えであるが、リハビリ施設のような場所で難病治療を目的とする研究施設に連れて来られていた。
二階にあるガラス越しの部屋からあたしは一階の様子を見ていた。
まるで健常者と障碍者を区別するかのように仕切られ、隔離されている。
同じ人間に生まれながら、毎日を身体に不自由なく暮らせる人もいれば、生まれながら不治の病と診断されて過酷な闘病生活を余儀なくされる人もいる。
そこにある違いは如何程だろうか?
あたしの目の前で病院着を着た少年がバーベルでも持ち上げるかのように手摺りに捕まりながら、渾身の力を込めて歩こうとしていた。
「あのコ、足をケガしているの?」
歩くなんて簡単で当たり前の自分には信じられない光景だった。
あれだけの力を込めれば手摺りで逆立ちが出来そうなモノだが、少年の行動は体操選手のように振舞わずにただ重力に反抗する屈曲と伸展の繰り返しだ。
きっとケガをしていて歩けないだけだ
その考えに落ちつく。
「いや、彼は筋ジストロフィーという病気なんだ」
「きん......じす?」
筋ジストロフィー
遺伝性筋疾患
少しずつ筋肉の力が弱くなり、筋肉が痩せていく難病
病気の特徴により四つの型に分類される
治療法は、未だに確立されていない
見ているだけでフラフラとしている頼りない少年の真っ白な腕や脚。
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