アインクラッド編
異世界との出会い
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んて現実世界の困難に立ち向かうことを諦めて,逃げた者,なんてかなり失礼な考えを頭の中で持っていたアスカにとって予想外な,優しく,柔和な態度で接してくるケイタ。
ほかの4人も同様に,暖かな親しみやすい雰囲気を醸し出している。
一緒に行きたいという気持ちがアスカの胸の奥底に芽生えるが,そっとその気持ちに蓋をする。
「じゃあ,また別の日に兄がこの世界にやってきたら,よろしく」
「お兄さんには是非ともパーティーに入ってもらうよ」
笑顔で手を振るケイタの後ろでダッカーがぶんぶんと音が出そうなほど大きく,サチも控えめではあるが手を振ってくれる。
アスカも応えて,歩き去りながら手を振る。
そうして,アスカはこのゲームで初めて知り合ったパーティーと別れた。
ケイタたちと別れた後,アスカは道すがら最初に目に入ったお店に寄り、細剣を購入して左腰につり下げると,ずっしりとした確かな重みを感じた。
説明書にもスキルやソードスキルについての説明はきちんと書かれていたので、明日香は迷わずに〈細剣スキル〉を選択する。
持っている武器と所持しているスキルが違うカテゴリの武器なら、ソードスキルが発動しないためだ。
武器調達とスキル選択が終ったアスカは、他のお店でポーションをいくつか買い、街の中を歩くこと数分、〈始まりの街〉の四方に1つずつある門の1つ、西門にたどり着く。
「・・・・凄いな・・・・・・」
フィールドに出ると、街の広場で感じた以上の驚きにアスカはそれ以上の言葉もでない。
どこまで続いていくか見当も付かないほどの広大な草原が辺り一面に広がっていた。
視界を遠くに移せば、北には森、南には湖、東には街の城壁、そして西には無限に続く空と金色に輝く雲が見渡せる。
巨大浮遊上〈アインクラッド〉第一層、〈始まりの街〉の西側のフィールドにアスカは立っていた。
他のプレイヤーもここらのフィールドで狩りを楽しんでいるはずだが、あまりの草原の広さ故か視界内には人の姿は確認できなかった。
今まで興味をまったく持っていなかったが、このような圧倒的な情報量をシステムとしてくみ上げているゲームの世界に対して、アスカは評価を改める。
決して母親が言っていたような、無駄なこと、では無いような気がする。
しばし、雄大な景色を楽しむが、慌てて意識を切り替える。
アスカは景色を眺めにフィールドに出てきたのではない。
他のプレイヤー同様に狩りをしてみよう。
そう思い、アスカは腰の細剣を抜きはなつ。
ショップで売っていた〈ブロンズレイピア〉という名の細剣カテゴリの武器だ。
ショップに置いてある最安値の細剣だが、それでも手の中にあるその剣は鈍い輝きを放ち、ずっしりとした重みと共に確かな存在感をアスカに与える。
ぐるりと草原を見渡すと、20
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