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ソードアート・オンライン―【黒き剣士と暗銀の魔刃】
六節:新たなる《ゴックローク》
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見た目がKoBの制服並みに気にいらないとかも言ってたっけ……」
「なにそれっ!? まさか団長が誘った時に断った理由ってそれも含まれてたんじゃ……!」
「じゃないの? というかKoB団長直々にねぇ。確かにあいつはめちゃんこ強かったけどさ」
「本当に謎な人よね……特にオンとオフの切り替えの激しさが何とも言えないわ……」
「別人よね、別人!」
二人して他人をだしに笑い合うのは流石に失礼過ぎるのではないかとも思うが、それもこれもガトウの人柄の所為であり彼にも非があるのだから強く批判も出来ない。
その後幾つかガトウ関連からは外れた会話を交わし、攻略ノルマを無視してリズベットの無事を確認しに来たらしいアスナは急いで彼女の武具店を飛び出していった。
嵐の様な友人の入退場に相変わらずだと口角を上げて吐息を洩らしながらも、ガトウへと近づいて間髪いれずに腹をぶん殴った。
犯罪防止コードにより発生する不可視の障壁が、紫色の音を鳴らしてガトウを少しだけのけぞらせる。
「…………ぬ……」
「少しぐらい普通に驚いても良いんじゃあないかって思うけどね……あんたリアクションがとことん薄いのよ」
「……うぉっ」
「今更驚いても遅いわ!!」
漫才としか取れないやり取りの後、ガトウはリズベットへ背中を向けて扉の方へと歩みでる。
もう用事も終わったのだから帰るのは当然だろうと、何故か少し寂しさを感じながら見送ろうとした矢先……不意にガトウは脚を止め、振り向かずに彼女へ声を―――否、問を掛けた。
「おい」
「な、何?」
雑味や奔放さが抜けた声にリズベットは思わず気を付け……とまでは行かず手も姿勢を直してしまう。
「お前はもし……自分は元々関係無かった、事なのに……ある少しのほんの僅かな、ズレによって巻き込まれる運命となったら……どうする?」
「はい? あ、え〜っと……」
余りに唐突な、意味深長な質問が、ガトウの口から発せられた。
質問の意図も分からず肝心の質問自体も曖昧勝つ難しいものだった為、リズベットは首を必死に捻って悩んでいるのか犬の様に唸る。
やっぱり答えは出ないと、何故そんな問いを自分に投げかけたのかを聞こうとし……しかしガトウに手で制された。
「いややっぱ、いい。……忘れろ」
「は、はぁ……?」
「…………まぁ、アレだ……そんじゃ、またな……」
何だか奥歯に物が挟まった様な、途轍もなく微妙に後引かれる言い方の所為で、リズベットは再度問いかける機会を逃す。
結局……最後に何が言いたかったのかも分からないまま、ガトウは戸を開け、店を出て行ってしまう。
(あ、そう言えば……何で見てたか、聞くの忘れてた……)
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