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ソードアート・オンライン―【黒き剣士と暗銀の魔刃】
六節:新たなる《ゴックローク》
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、片や有名の少女剣士。繋がりはあれど、すぐに気が付けるものでは無いだろう。


 数十秒物間たっぷり時間を掛け、一頻り抱擁を交わした後で、アスナはゆっくり顔を上げる。


「あ……! そう言えばさっき、ダンジョンに入ったーって言ってたけど……ま、まさか一人で!?」
「違うわよ、そこに立ってる人と行ったの」


 若干失礼かなという思いをにじませながらも、リズベットは後ろにいたガトウを指差す。

 突っ立ったまま微動だにせず顔を下に向けている辺り、何が起こっているのか何をしているのか、今現在彼の事を一部でも知った彼女には丸分かりだが。


 だが、呑気に寝ているのを戸惑いつつ起こしてから、きっちりお礼を言うであろうと思ったリズベットの予想に反し―――アスナは口を大きく開けてたっぷり数十秒間固まって、クエストに出向く前の先の彼女と同様、その人物を勢いよく指差した。


「が、が、ガトウ! ……さん!?」
「えっ!?」


 声を出されても顔を上げる素振りが無いのを見るに、やはりこれは何時もの事かと思いながらも、リズベットはアスナがガトウを知っていた事に驚いた。
 ……次いで呼び捨てにされ掛けていたのを証明する付け加えを聞き、とことん信用ないのだろうなとも彼女は思ってしまった。

 しかし今気にする所はそこでは無く、アスナが何故眼前の男を知っていたか、という事だ。


「えっとさ……アスナ? ガトウの事、知ってんの……?」
「知ってるも何も前に言ったじゃない! 寝てばっかりいるけど戦闘は凄い、髪色も立ち振る舞いも奇妙な男性プレイヤーが居るって!」
「あ〜……あ? ……あ、あぁっ! そうだった思い出した!!」


 ダンジョンへ向かう最中に思ったガトウの名前に聞き覚えがあるが、詳しくは何も知らないという違和感、それがここにきて一気に氷解する。

 それと同時にリズベットは聞かされた話を、漸く鮮明に思い出した。
 六十層攻略途中にもアスナはリズベット武具店にレイピアとブレストアーマーのメンテナンスにとよってのだが、そこでアスナはこう愚痴っていた。


 『強い事は強いのだが協調性に難があり、今一何を考えてるのか分からない睡眠第一な男』
 ……こんな摩訶不思議且つ理解不能なプレイヤーが居ると。


 容姿の事は余り事こまかに連ねては無かったのだが、ガトウという名前は頻りに口にしていたので、見た目の印象だけでは分からなかったのだ。

 やはりというべきか直立不動で寝ていたガトウを、呆れ顔でアスナは見ている。


「この人リズに変な事言わなかった? まあ、どうせ寝てたり寝てたり寝たりしたんでしょうけど」
「大当たり。会話中に寝るわ武器にケチ付けて寝るわ散々よ。……あ、あと武器の
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