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ソードアート・オンライン―【黒き剣士と暗銀の魔刃】
六節:新たなる《ゴックローク》
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連物での、突飛なる才能の塊とは思いもしない。


「……それで、この剣の値段は………………いや条件、付けていいか?」
「条件?」
「……あぁ、条件だ」


 そんな空気や雰囲気など微塵も感知していなかったらしいリズベットは眉を片方ずつ上げて下げ、何をする気なのかと不審に思ったが、次に彼の口から出てきた言葉は至極まっとうなモノだった。


「先のダンジョンでは……俺が守れきれなかった、命を落とさせかけたって、その償いもある。……だから武器の料金を割り増していいか?」


 つまりリズベットが決めた値段に加え、自分のけじめや償いとして料金を上乗せして払うことを望んでいたのだ。

 相変わらず今の声色を除けば真剣味に欠ける表情ではあるが、それが空回でも何でもなく本気で言っているのだという事は、リズベットにも感じ取れる。


「……ホント、律儀なのかいい加減なのかはっきりしないわね……そんな気に負わなくていわよ、この世界ではやっぱり、死因のどこかに必ず自業自得は絡んでくるんだから」
「……」
「それに一時だけ高い値段で払うくらいなら、先を見積もって専属スミスにでもしてくれた方がいいわよ」
「……なら、それだ」
「ハイハイ御贔屓様一名増加! 今後ともよろしく!」
「……うーっす……宜しく」


 ガトウの実にやる気の無い間延びした返事を聞いて、リズベットはコルを受け取りながら全くもって誠実さが感じられない奴だと苦笑いした。


「リズぅっ!!」


 ―――――それと同時、扉が勢いよく開く。

「リズ、リズッ、リズゥッ!!」
「わわ……のぉわっ!?」


 勢い任せに跳び込んできた少女は店主を発見するや否や、正しく矢の如き速度で抱きついた。
 その力を受け流しきれず、リズベットは後ろに数歩ずれて、がっつり音を立てカウンターに当たって止まる。

 友人であり攻略組にも名を連ねる彼女の名前を、リズベットは申し訳なさを含んだ声で呼んだ。


「ごめん、心配させちゃったね」
「ほんっっっっとうに心配したんだから!! ほぼ1日連絡無いしメールにも答えないし、常連の人も知らないし場所も確認できなかったし!」
「だ、ダンジョンに入ってたからさ、インスタンスだったし。でも、ホントごめん……“アスナ”」


 リズの友人であるその少女は、白を基調とした服、装飾に施された円形の唾を持つレイピアを装備した、血盟騎士団副団長・アスナだったのだ。
 様子を見るに繋がりが深くつき合いの長い友人であるらしい。

 攻略組を主な顧客としていると聞けば、当然《血盟騎士団》副団長たる彼女の存在も頭に浮かぶ―――が、よもや此処まで仲が良いとは余り思いつかないのではなかろうか。
 片や一人の少女鍛冶師
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