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ソードアート・オンライン―【黒き剣士と暗銀の魔刃】
六節:新たなる《ゴックローク》
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くべき事を聞いてからだと、彼女はガトウの方へ向き直る。
「でも良く倒せたわね、あんなバグ生まれの化け物を……攻撃が途中から見えなかったのに」
「ああ、それだが……バクは、治った」
「は?」
「……正確に言うなら、途中でプログラムが検知したか……動きが止まって元のゴーレムに、なりやがった」
「ま、マジなの?」
「…………マジだ」
尤も且つ何の疑いようもな言い分ではあり、まず疑う事でもないだろうと信じることにした。
結局寝ていた彼女には、今この場に限って言えばだが、現状そのものが真実なのだから。
もしかすると助かった理由の一端には、そのシステムのエラー検知も一役買っているのではないかと思い、強ち有り得無くもないとリズベットは微妙な表情を作った。
一人云々頷いているリズベットを見て、ガトウはメニューを開くと何かをオブジェクト化して、彼女の目の前に持ってきた。
不思議な二色の光沢を持つソレは……紛れもなく武具製作用アイテムの『インゴット』である。
「おぉ……おおおおおお! 出てたんだ! あぁ、よかったぁ……とことん疲れてあまつさえ死にかけたのに、それが全部徒労に終わったらどうしようかと……」
「だな。結果オーライとは行かない……かも、しれねぇが……」
「何でもかんでも“それ”じゃあ済ませられないしね。でもさ、今はそういう事にしとこうよ」
「……死の淵に立った奴に……そう言われたら、納得するしかねぇな」
頭を二回痒い訳ではないのか緩慢な動作で掻いてからインゴットをアイテムストレージに収納し、ガトウは立ち上がるとリズベットへ手を差し出してくる。
文句も言わず素直にその手を取ってリズベットは立ち上がり、表面上はそうでなくとも未だ恐怖はの負っていたか、盾をしまわず装備したままメイスの尖端を床につけ部屋を見回した。
すると、開いていた扉が入ってきた時の物とは、明らかに違うサイズと形状だという事に気がつく。
ガトウを伴って覗き込んでみれば、外へとつながる出口となっており、更に真っすぐな道を進むと塔の外壁ををぐるりと数周する、帰リ道専用であろう螺旋階段が現れていた。
ダンジョン探索にボス戦も含めてかなり時が経っていたらしく、外はもうすっかり夜で、上には星空が広がっている。
「うわ、随分時間食っちゃったわね……ねぇ、アタシどれぐらい寝てた?」
「………………………」
「ん? ガトウ、アンタもしかして計算苦手だったり―――」
「……………………………スゥー」
「寝てんのかい!!」
もうすっかり初対面時通りな寝ぼすけガトウに、リズベットは恐怖している暇もないと思いっきり突っ込みを入れた。
其処から律義に階段を下りて行く
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